ホラー

廃墟探検

無許可での廃墟探索は違法行為(不法侵入)です、絶対にやらないで下さい。
トロール
おっすおっす。
ゴーゴン
あらこんばんは。
どうしたの、緑色の顔して?
トロール
いや、緑色なのは前からだから。
ゴーゴン
・・・。
トロール
・・・。
ゴーゴン
・・・何か言いなさいよ。
トロール
いやお前のターンだろ。
て言うかなんだよこの空気は?
ゴーゴン
知らないわよ。
で、今回はどうしたの?
トロール
うん。
隣町の廃墟で白骨死体が見つかった、って話。
ゴーゴン
あー、アレね。
隣町って言ってもアレ、林道の奥にある山小屋みたいな廃墟でしょ?
トロール
違う違う。
すっげぇ立派な建物だよ。
昔ながらの茅葺き屋根の。
ゴーゴン
えっ、そうなの?
あんな山奥だから、てっきり炭焼き小屋みたいなものかと思ってたけど。
・・・って、なんで知ってるのよ?
トロール
あの辺、行った事あるからね。
あ、中には入ってないよ?
ゴーゴン
そりゃそうでしょ、廃墟とはいえ人様の家なんだから。
勝手に入るなんて泥棒と一緒じゃない。
トロール
・・・あそこ、入った人居るんだよ。
ゴーゴン
マジで!?
トロール
マジで。
知り合いの重症な廃墟マニアだけどね。
ゴーゴン
・・・。
トロール
で、変な事が起きた、って。
ゴーゴン
変な事?
トロール
うん。
って、その前にあの廃墟の場所、ちゃんと知ってる?
ゴーゴン
一応、程度だけど。
アレでしょ、軽トラでもちょっと入るのが嫌な感じの砂利道な林道を15分位走った先、だったわよね?
トロール
そう。
その人、あの道を夜中に歩いて行ったんだと。
ゴーゴン
バカじゃないの?
あの辺、熊だって普通に出るのに?
トロール
通報される方が余程怖いらしいよ。
だから、林道の入り口からちょっと離れた所に車を止めて、そこから歩いて行ったんだってさ。
その人、ジムニーに乗ってるんだから普通に車で行けばいいのにな。
ゴーゴン
軽トラより余程林道向きな車じゃないの。
・・・それで?
トロール
それでな。
建物を見つけて玄関先に回ってみたら、扉の前に細長い木の板をX状に釘で打ち付けてあって入れなかったんだと。
ゴーゴン
まさか、剥がしたんじゃないでしょうね、ソレ?
トロール
いやいや、流石にそこまではしないよ。
グルッと一周したけど、縁側の雨戸もダメ、窓もダメ、だったんだけど、勝手口は何もされてなかったらしい。
ゴーゴン
ふむ。
トロール
木製の引き戸だったんだけど、試しにちょっと引いてみたらギギギギギィーッて思わず辺りを見まわしちゃう位に物凄い音がしたけど、まぁ、開いた訳だ。
ゴーゴン
で、入っちゃった、と。
トロール
うん。
ゴーゴン
でも、そんな廃墟に入って何するの?
トロール
とにかく写真を撮るんだって。
今ならデジカメでほぼ撮り放題だけど、一昔前のフィルムカメラの時代でも、建物の規模によっちゃぁ100枚200枚は当たり前、って感じでバシバシ撮りまくってた、って。
ゴーゴン
それだけ?
トロール
もちろんそれだけじゃない。
それから、家探しをするんだって。
ゴーゴン
家探し?
トロール
うん。
そういう田舎なんかで長年放置されている廃墟って、不思議と家財道具一切が手つかずで残ったままになっている所が多いらしいんだ。
山中なんかだと、積雪の時期だけそこを離れた筈が何かの都合で二度と戻れなかった、とか、そういう理由なんだろうけど実際の所はわからない。
ゴーゴン
で、そういう物を調べてどーすんの?
トロール
考察。
ゴーゴン
絞殺?
トロール
おもしろくない。
いやマジで。
ゴーゴン
・・・ごめん。
トロール
その家に何人が住んでて、どんな暮らしをしていて、どんな理由で居なくなったのか。
そういうのを自分なりに考えるのが楽しいらしいよ。
ゴーゴン
ふぅん・・・。
で、変な事って、何?
トロール
それな。
一通りやる事やってさぁ帰ろう、と思って勝手口に戻ったら、扉が閉まってたんだと。
ゴーゴン
自分で閉めたんじゃないの?
トロール
いや、普通覚えてるだろそんなの。
まぁ、100歩譲ってそうだったとしよう。
でも、次は有り得ない。
ゴーゴン
何よ?
トロール
扉の後ろに斜めにつっかえ棒が差してあった。
ゴーゴン
・・・、え?
トロール
先に言っておくが、その廃墟に入ったのはその人だけだ。
一通りバタバタと騒々しく引っ掻き回した訳だから、誰か居たとしたら、出て来ないとおかしいよな?
でも、誰も出て来なかった。
にも拘わらず、知らない間に勝手口の扉は閉じられ、おまけにつっかえ棒まで差してあった訳だ。
ゴーゴン
うーん・・・。
トロール
俺みたいな心霊マニアから見れば、これはこの廃墟に居座る悪霊からのメッセージだよ。
「お前を帰さない」ってな。
ゴーゴン
キモい。
トロール
キモい言うな!
ゴーゴン
で、その人はどうしたの?
トロール
それがな、凄いと言うか呆れると言うか・・・。
廃墟マニア全般に言える話では無いかもしれないけど、あの人達ってのは心霊現象の類は一切信じないって人が多いんだよ。
だからその人も「あー、コレはアレだ、俺が無意識にやったに違い無い、うんそうだ、そうに決まってる!」って決めつけて、つっかえ棒を足でバーンと蹴り外して、扉をギギギギギィーッて全力で開いて、でまたギギギギギィーッて閉めて、そのまま帰ったらしい。
ゴーゴン
ちょっと待って。
トロール
ん?
ゴーゴン
今、「ギギギギギィーッて閉めて」って言ったわよね?
トロール
うん。
実際、開ける時みたいにすっげぇウルサイ音がしたんだって。
ゴーゴン
それじゃぁさ、誰かが閉じたら判らない筈が無い、って事よね?
トロール
・・・あ。
そうだよな、いくら家探しで騒々しくしていたとしても、そりゃ聞こえない方がおかしいよ。
ゴーゴン
それじゃぁ、やっぱりそういう事よね・・・。
トロール
おや珍しい、心霊肯定派に鞍替えすんのか?
ゴーゴン
別に断固否定派、って訳じゃ無いわよ。
ただ、なんか胡散臭い話は嫌いなだけ。
これはガチなんじゃないの、やっぱり?
トロール
ガチ、だろうな。
でも、その人は今に至るも絶対に認めない。
心中でどう思ってるかは知らんけどね。
ゴーゴン
でもさ、なんでそうやって否定しちゃうの?
認めざるを得ない事だって起きるでしょうに?
トロール
そんなもん、一度認めたら怖くて廃墟なんて入れなくなるだろ。
次は何が起きるか判らない、となったら、夜中に一人で廃墟に行こう、って気分になれるか?
ゴーゴン
あー・・・。
そういう事かぁ。
トロール
まぁ、もう15年以上前の話だけどね。
ゴーゴン
でもさ、あの白骨死体って、確か死後20年以上、って言ってたわよね?
トロール
・・・そうだったな。
で、天井裏から見つかったんだったっけ?
ゴーゴン
そうそう。
つまり、その廃墟マニアな人があそこに入った時には、間違いなく天井裏にその死体が転がってた、って事になるわよね?
トロール
そう考えると怖いな。
頭上に死体が転がってるのに気付かないまま家探ししてた訳か。
そりゃ「うるせぇよコノヤロウ」ってなるわな。
ゴーゴン
もしその死体が廃墟の主だったりしたら、そりゃ許せないよね。
トロール
だよなぁ・・・。
扉を閉めてつっかえ棒差す位の事は、するかもな。
ゴーゴン
そうねぇ・・・。
・・・あ、ところでさ?
トロール
ん?
ゴーゴン
さっき、廃墟まで行った事ある、って言ったわよね?
トロール
うん。
ゴーゴン
あんな山奥に何しに行ったの?
トロール
えっ。
ゴーゴン
えっ。
じゃ無いわよ。
別にアンタの仕事って林業とは関係無いんだし、普通なら行く必要無いじゃないの?
トロール
いや、あのさ、あの林道の終点って、池なんだよね。
深夜2時ちょうどに特定の場所から水面を見ると、自分の死に顔が映る、って話があってな。
ゴーゴン
あー、聞いた事あるわ。
アレでしょ、「のぞきの池」って呼ばれてる。
トロール
そう、それ。
それを見に行ったんだよ。
ゴーゴン
・・・夜中の2時に?
トロール
うん。
ゴーゴン
もしかして、一人で?
トロール
うん。
ゴーゴン
もしかして、歩いて?
トロール
・・・、うん。
ゴーゴン
アンタも人の事言えないじゃない?
トロール
うるさいよ!
て言うかほっとけ!