廃墟探検
無許可での廃墟探索は違法行為(不法侵入)です、絶対にやらないで下さい。
おっすおっす。
あらこんばんは。
どうしたの、緑色の顔して?
どうしたの、緑色の顔して?
いや、緑色なのは前からだから。
・・・。
・・・。
・・・何か言いなさいよ。
いやお前のターンだろ。
て言うかなんだよこの空気は?
て言うかなんだよこの空気は?
知らないわよ。
で、今回はどうしたの?
で、今回はどうしたの?
うん。
隣町の廃墟で白骨死体が見つかった、って話。
隣町の廃墟で白骨死体が見つかった、って話。
あー、アレね。
隣町って言ってもアレ、林道の奥にある山小屋みたいな廃墟でしょ?
隣町って言ってもアレ、林道の奥にある山小屋みたいな廃墟でしょ?
違う違う。
すっげぇ立派な建物だよ。
昔ながらの茅葺き屋根の。
すっげぇ立派な建物だよ。
昔ながらの茅葺き屋根の。
えっ、そうなの?
あんな山奥だから、てっきり炭焼き小屋みたいなものかと思ってたけど。
・・・って、なんで知ってるのよ?
あんな山奥だから、てっきり炭焼き小屋みたいなものかと思ってたけど。
・・・って、なんで知ってるのよ?
あの辺、行った事あるからね。
あ、中には入ってないよ?
あ、中には入ってないよ?
そりゃそうでしょ、廃墟とはいえ人様の家なんだから。
勝手に入るなんて泥棒と一緒じゃない。
勝手に入るなんて泥棒と一緒じゃない。
・・・あそこ、入った人居るんだよ。
マジで!?
マジで。
知り合いの重症な廃墟マニアだけどね。
知り合いの重症な廃墟マニアだけどね。
・・・。
で、変な事が起きた、って。
変な事?
うん。
って、その前にあの廃墟の場所、ちゃんと知ってる?
って、その前にあの廃墟の場所、ちゃんと知ってる?
一応、程度だけど。
アレでしょ、軽トラでもちょっと入るのが嫌な感じの砂利道な林道を15分位走った先、だったわよね?
アレでしょ、軽トラでもちょっと入るのが嫌な感じの砂利道な林道を15分位走った先、だったわよね?
そう。
その人、あの道を夜中に歩いて行ったんだと。
その人、あの道を夜中に歩いて行ったんだと。
バカじゃないの?
あの辺、熊だって普通に出るのに?
あの辺、熊だって普通に出るのに?
通報される方が余程怖いらしいよ。
だから、林道の入り口からちょっと離れた所に車を止めて、そこから歩いて行ったんだってさ。
その人、ジムニーに乗ってるんだから普通に車で行けばいいのにな。
だから、林道の入り口からちょっと離れた所に車を止めて、そこから歩いて行ったんだってさ。
その人、ジムニーに乗ってるんだから普通に車で行けばいいのにな。
軽トラより余程林道向きな車じゃないの。
・・・それで?
・・・それで?
それでな。
建物を見つけて玄関先に回ってみたら、扉の前に細長い木の板をX状に釘で打ち付けてあって入れなかったんだと。
建物を見つけて玄関先に回ってみたら、扉の前に細長い木の板をX状に釘で打ち付けてあって入れなかったんだと。
まさか、剥がしたんじゃないでしょうね、ソレ?
いやいや、流石にそこまではしないよ。
グルッと一周したけど、縁側の雨戸もダメ、窓もダメ、だったんだけど、勝手口は何もされてなかったらしい。
グルッと一周したけど、縁側の雨戸もダメ、窓もダメ、だったんだけど、勝手口は何もされてなかったらしい。
ふむ。
木製の引き戸だったんだけど、試しにちょっと引いてみたらギギギギギィーッて思わず辺りを見まわしちゃう位に物凄い音がしたけど、まぁ、開いた訳だ。
で、入っちゃった、と。
うん。
でも、そんな廃墟に入って何するの?
とにかく写真を撮るんだって。
今ならデジカメでほぼ撮り放題だけど、一昔前のフィルムカメラの時代でも、建物の規模によっちゃぁ100枚200枚は当たり前、って感じでバシバシ撮りまくってた、って。
今ならデジカメでほぼ撮り放題だけど、一昔前のフィルムカメラの時代でも、建物の規模によっちゃぁ100枚200枚は当たり前、って感じでバシバシ撮りまくってた、って。
それだけ?
もちろんそれだけじゃない。
それから、家探しをするんだって。
それから、家探しをするんだって。
家探し?
うん。
そういう田舎なんかで長年放置されている廃墟って、不思議と家財道具一切が手つかずで残ったままになっている所が多いらしいんだ。
山中なんかだと、積雪の時期だけそこを離れた筈が何かの都合で二度と戻れなかった、とか、そういう理由なんだろうけど実際の所はわからない。
そういう田舎なんかで長年放置されている廃墟って、不思議と家財道具一切が手つかずで残ったままになっている所が多いらしいんだ。
山中なんかだと、積雪の時期だけそこを離れた筈が何かの都合で二度と戻れなかった、とか、そういう理由なんだろうけど実際の所はわからない。
で、そういう物を調べてどーすんの?
考察。
絞殺?
おもしろくない。
いやマジで。
いやマジで。
・・・ごめん。
その家に何人が住んでて、どんな暮らしをしていて、どんな理由で居なくなったのか。
そういうのを自分なりに考えるのが楽しいらしいよ。
そういうのを自分なりに考えるのが楽しいらしいよ。
ふぅん・・・。
で、変な事って、何?
で、変な事って、何?
それな。
一通りやる事やってさぁ帰ろう、と思って勝手口に戻ったら、扉が閉まってたんだと。
一通りやる事やってさぁ帰ろう、と思って勝手口に戻ったら、扉が閉まってたんだと。
自分で閉めたんじゃないの?
いや、普通覚えてるだろそんなの。
まぁ、100歩譲ってそうだったとしよう。
でも、次は有り得ない。
まぁ、100歩譲ってそうだったとしよう。
でも、次は有り得ない。
何よ?
扉の後ろに斜めにつっかえ棒が差してあった。
・・・、え?
先に言っておくが、その廃墟に入ったのはその人だけだ。
一通りバタバタと騒々しく引っ掻き回した訳だから、誰か居たとしたら、出て来ないとおかしいよな?
でも、誰も出て来なかった。
にも拘わらず、知らない間に勝手口の扉は閉じられ、おまけにつっかえ棒まで差してあった訳だ。
一通りバタバタと騒々しく引っ掻き回した訳だから、誰か居たとしたら、出て来ないとおかしいよな?
でも、誰も出て来なかった。
にも拘わらず、知らない間に勝手口の扉は閉じられ、おまけにつっかえ棒まで差してあった訳だ。
うーん・・・。
俺みたいな心霊マニアから見れば、これはこの廃墟に居座る悪霊からのメッセージだよ。
「お前を帰さない」ってな。
「お前を帰さない」ってな。
キモい。
キモい言うな!
で、その人はどうしたの?
それがな、凄いと言うか呆れると言うか・・・。
廃墟マニア全般に言える話では無いかもしれないけど、あの人達ってのは心霊現象の類は一切信じないって人が多いんだよ。
だからその人も「あー、コレはアレだ、俺が無意識にやったに違い無い、うんそうだ、そうに決まってる!」って決めつけて、つっかえ棒を足でバーンと蹴り外して、扉をギギギギギィーッて全力で開いて、でまたギギギギギィーッて閉めて、そのまま帰ったらしい。
廃墟マニア全般に言える話では無いかもしれないけど、あの人達ってのは心霊現象の類は一切信じないって人が多いんだよ。
だからその人も「あー、コレはアレだ、俺が無意識にやったに違い無い、うんそうだ、そうに決まってる!」って決めつけて、つっかえ棒を足でバーンと蹴り外して、扉をギギギギギィーッて全力で開いて、でまたギギギギギィーッて閉めて、そのまま帰ったらしい。
ちょっと待って。
ん?
今、「ギギギギギィーッて閉めて」って言ったわよね?
うん。
実際、開ける時みたいにすっげぇウルサイ音がしたんだって。
実際、開ける時みたいにすっげぇウルサイ音がしたんだって。
それじゃぁさ、誰かが閉じたら判らない筈が無い、って事よね?
・・・あ。
そうだよな、いくら家探しで騒々しくしていたとしても、そりゃ聞こえない方がおかしいよ。
そうだよな、いくら家探しで騒々しくしていたとしても、そりゃ聞こえない方がおかしいよ。
それじゃぁ、やっぱりそういう事よね・・・。
おや珍しい、心霊肯定派に鞍替えすんのか?
別に断固否定派、って訳じゃ無いわよ。
ただ、なんか胡散臭い話は嫌いなだけ。
これはガチなんじゃないの、やっぱり?
ただ、なんか胡散臭い話は嫌いなだけ。
これはガチなんじゃないの、やっぱり?
ガチ、だろうな。
でも、その人は今に至るも絶対に認めない。
心中でどう思ってるかは知らんけどね。
でも、その人は今に至るも絶対に認めない。
心中でどう思ってるかは知らんけどね。
でもさ、なんでそうやって否定しちゃうの?
認めざるを得ない事だって起きるでしょうに?
認めざるを得ない事だって起きるでしょうに?
そんなもん、一度認めたら怖くて廃墟なんて入れなくなるだろ。
次は何が起きるか判らない、となったら、夜中に一人で廃墟に行こう、って気分になれるか?
次は何が起きるか判らない、となったら、夜中に一人で廃墟に行こう、って気分になれるか?
あー・・・。
そういう事かぁ。
そういう事かぁ。
まぁ、もう15年以上前の話だけどね。
でもさ、あの白骨死体って、確か死後20年以上、って言ってたわよね?
・・・そうだったな。
で、天井裏から見つかったんだったっけ?
で、天井裏から見つかったんだったっけ?
そうそう。
つまり、その廃墟マニアな人があそこに入った時には、間違いなく天井裏にその死体が転がってた、って事になるわよね?
つまり、その廃墟マニアな人があそこに入った時には、間違いなく天井裏にその死体が転がってた、って事になるわよね?
そう考えると怖いな。
頭上に死体が転がってるのに気付かないまま家探ししてた訳か。
そりゃ「うるせぇよコノヤロウ」ってなるわな。
頭上に死体が転がってるのに気付かないまま家探ししてた訳か。
そりゃ「うるせぇよコノヤロウ」ってなるわな。
もしその死体が廃墟の主だったりしたら、そりゃ許せないよね。
だよなぁ・・・。
扉を閉めてつっかえ棒差す位の事は、するかもな。
扉を閉めてつっかえ棒差す位の事は、するかもな。
そうねぇ・・・。
・・・あ、ところでさ?
・・・あ、ところでさ?
ん?
さっき、廃墟まで行った事ある、って言ったわよね?
うん。
あんな山奥に何しに行ったの?
えっ。
えっ。
じゃ無いわよ。
別にアンタの仕事って林業とは関係無いんだし、普通なら行く必要無いじゃないの?
じゃ無いわよ。
別にアンタの仕事って林業とは関係無いんだし、普通なら行く必要無いじゃないの?
いや、あのさ、あの林道の終点って、池なんだよね。
深夜2時ちょうどに特定の場所から水面を見ると、自分の死に顔が映る、って話があってな。
深夜2時ちょうどに特定の場所から水面を見ると、自分の死に顔が映る、って話があってな。
あー、聞いた事あるわ。
アレでしょ、「のぞきの池」って呼ばれてる。
アレでしょ、「のぞきの池」って呼ばれてる。
そう、それ。
それを見に行ったんだよ。
それを見に行ったんだよ。
・・・夜中の2時に?
うん。
もしかして、一人で?
うん。
もしかして、歩いて?
・・・、うん。
アンタも人の事言えないじゃない?
うるさいよ!
て言うかほっとけ!
て言うかほっとけ!