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LOVE魔王 第5話

タグ:LOVE魔王 魔王ふたり

沖縄あわも
じゃあ、私は出かけてくるけどちゃんとお留守番してるのよ?
琴葉 茜
はーい。
月読ショウタ
まかせて!
勇者さまのお家は私たちがしっかり守るよ!
沖縄あわも
ははは、頼もしいね。
じゃ、いってくる!
弦巻マキ
ひさしぶりだね、勇者さま。

こんなところで出会うなんてね。
沖縄あわも
そういうあなたは、元勇者の仲間で今は魔王の四天王じゃないか。
弦巻マキ
くすすっ、君のために魔王城に潜入したがまさか四天王になるなんてね。
まったく未来は予想不可能ってやつだよ。
沖縄あわも
なにか情報でも掴んだの?
弦巻マキ
そういう君は、これからどうしようってのさ?
沖縄あわも
いつもと同じ。
魔王を倒すための旅さ。
弦巻マキ
……君、まさか魔王に最終決戦を挑むつもりじゃないだろね?
沖縄あわも
お見通しか。
弦巻マキ
そうなるともう、教会で復活も出来ないんだよ?
沖縄あわも
その代わり、勇者の真の力を発揮できるようになるさ。
私が勝つにはこれしかないだろう。
弦巻マキ
なぜそんなに焦る?
地道にレベルアップしていけばいつかは勝てるようになるはずだ。
沖縄あわも
正直、それで南の魔王に勝てる気がしないんだよね。

アイツはレベルを上げればどうにかなるような存在じゃない。
弦巻マキ
勇者らしからぬ弱気な発言だな。

それに君が死んだら、あの子供らはどうするってんだい。
沖縄あわも
実はそれについてはあなたを当てにしていた。
私の代わりにあの子らを養ってくれないかな?

勇者の最後の頼みだよ。
弦巻マキ
現四天王の私にそんなことを頼むのかい?
大事な子供らじゃないか。
沖縄あわも
だから君に頼みたい。1番信用できるもの。
弦巻マキ
魔王城に潜入する前にもそんなことをいったね。
沖縄あわも
評価が変わったわけじゃないから結論も変わらないのさ。
弦巻マキ
悪いが答えはノーだな。
沖縄あわも
あらら、それは困る。
弦巻マキ
私の代わりに子供らを育てるのにうってつけのひとがいる。
そのひとに依頼しておく。私よりも信用に値する人物だから安心するがいい。
沖縄あわも
あなたがいうなら安心なんだろう。
それで構わない。

それであなたはどうする?
弦巻マキ
私も勇者の仲間だ。
ならすることは決まっている。
沖縄あわも
まさか今から私とパーティーを組むのかい?!
弦巻マキ
足手まといにはならないさ。
沖縄あわも
死ににいくようなものじゃないか。
弦巻マキ
勇者の真の力が発現すればわからないさ。
それがどういうものかは私は知らないが。
沖縄あわも
はっきり言おう。
勇者の真の力なんてあるかないかもわからないシロモノなんだ。

私がこうして魔王に最終決戦を挑むのは……もう、疲れたからだ。
弦巻マキ
勇者よ……。
沖縄あわも
何度も繰り返す魔王との戦いに、まるで勝ちの糸口も見えないまま挑まなければいけない人生に倦み疲れ果ててしまった。

民の期待に応えるあてもなく、子供らの憧憬の眼差しに相応しい成果を上げることもできない。
できるとも思えない。

そんなダメ勇者としての自分に嫌に成り果ててしまったんだ。
弦巻マキ
……。
沖縄あわも
だから、次代の勇者に望みを託すためにも、私は自らをなくしてしまうことに決めたんだ。
弦巻マキ
君が死ねば、次の勇者が現れるのか。
沖縄あわも
そう。私が勇者になったときもそうだった。
次が誰になるかはわかりようもないけどね。
弦巻マキ
……勇者というものは、そうやって代々の思いを背負わされて生まれ来るものなのかもな。
沖縄あわも
当人はいい迷惑だな。ははっ。
弦巻マキ
大事なひとが病に倒れた時、1番つらいことはなんだと思う?
沖縄あわも
ん?
弦巻マキ
それはな、そのひとの苦しみを髪の毛一筋ほども代わりに背負ってやれないことさ。

今の私はそれと同じ無力感に身を焼かれている。
沖縄あわも
あなたは……?
弦巻マキ
共に行こう。

一緒に魔王を倒そう。
沖縄あわも
同情で死ににいくなんて馬鹿げているよ。
弦巻マキ
我らは仲間だ。

だから行く。
沖縄あわも
……。

私には過ぎた仲間だね。
弦巻マキ
これは私のわがままでもあるのさ。
沖縄あわも
……さあ、魔王城の前に来たよ。
関西しのび
勇者か。
沖縄あわも
四天王……。

思えばあなたたちとも長い付き合いだった。
弦巻マキ
四天王として我らを見過ごしは出来ぬよな。
関西しのび
あんたが言うのもね。
勇者のスパイだった、ってことは初めからお見通しだったよ。
弦巻マキ
だろうな。
常にそんな気がしていたよ。
沖縄あわも
で、どうする?
関西しのび
あのアホ魔王のために、まじめに働くのも馬鹿らしいね。
弦巻マキ
お前はいつもそうだな。
しかしやるときにはやるやつだと思っていたが。
関西しのび
勇者が魔王さまに勝てるはずがない。
そんなのわかりきってるんだから、こんなことで労力を割きたくはないね。
沖縄あわも
見逃してくれるのか?
関西しのび
私の持論は、「上司は厄介事を押し付けるために存在してる」だからね。

厄介事はさっさと行きな。
弦巻マキ
お前もめんどくさい性格をしているな。
関西しのび
……やかましい。
沖縄あわも
まさか無傷で城内に入れるなんてね。
弦巻マキ
雑魚のモンスターはいないようだな。
沖縄あわも
どういうことなんだか?
中部つるぎ
つまらないことを気にしてる余裕があるッスか?
沖縄あわも
続けて四天王か。
弦巻マキ
ひとりづつご登場とはずいぶん律儀じゃないか。
中部つるぎ
ついに最終決戦を挑んできた、とお見受けしたッス。
沖縄あわも
よくわかるな。
中部つるぎ
南の魔王さまはすべてを見通すッスからねえ。

伊達に最強魔王やってるわけじゃないッス。
弦巻マキ
アホだけどな。
中部つるぎ
その上、変態ッス。
沖縄あわも
相変わらずの忠誠度だね、四天王と元四天王。
中部つるぎ
というわけで、見せ場もなく悪いッスけど、私は引かせてもらうッス。
沖縄あわも
どういうつもりだ。
中部つるぎ
勇者が魔王さまに勝てるはずないッス。

結果が同じならわざわざ私がやる必要もないッスよね。
弦巻マキ
お前まさか、あの時の勇者とのことを……?
中部つるぎ
見逃してもらって命を助けてもらったことなど思い出したくもないッス。

今夜は気が向かないというだけッス。
沖縄あわも
あれはただの私の甘さに過ぎないよ。
中部つるぎ
その通りッス。

それじゃ、ドロンするッス。
弦巻マキ
行ってしまったな。
沖縄あわも
四天王といい魔王城の雰囲気といい、実におかしい夜だな。
弦巻マキ
向こうで舞台を整えてくれてるのかもね。
沖縄あわも
なぜわざわざそんなことを?
弦巻マキ
好きなんだよ、そういうのが。
漆黒のめたん(四国めたん)
だから部下は迷惑ばっかかけられるんだけどね。
沖縄あわも
最後の四天王か!
弦巻マキ
お前も戦わないのか?
漆黒のめたん(四国めたん)
だから楽でいいよ。

私は効率第一主義だからね。
沖縄あわも
そういえば四天王の中ではお前が1番初めに戦った相手だったっけ。
漆黒のめたん(四国めたん)
古い話を覚えているね。
当時は四天王もまだ存在しなかったっけ。
弦巻マキ
私が潜入してからだったな、四天王結成は。
漆黒のめたん(四国めたん)
あれはスパイが四天王になるなんて面白いんじゃね?
という魔王さまの思いつきで始まったものだったんだよ。
沖縄あわも
意味がわからないな。
漆黒のめたん(四国めたん)
魔王さまの部下で1番の古株の私でも未だに掴みかねることばかりだよ。
弦巻マキ
道理で、態度と乳がデカいわけだ。
漆黒のめたん(四国めたん)
そういうあんたは態度も乳も慎ましやかだったねえ。
弦巻マキ
黙れ、魔族め。
沖縄あわも
とにかく私たちは行っていいんだな?
漆黒のめたん(四国めたん)
ああ、いいよ。

どうせ勇者が魔王さまに勝てるはずもないから罪悪感なく見逃せるよ。
弦巻マキ
初めからないだろう、罪悪感なんて。
漆黒のめたん(四国めたん)
まあね、あんたの乳と同じくらいないね。
沖縄あわも
こういうのもおかしなことだが、ありがとう。
漆黒のめたん(四国めたん)
……ふん。
沖縄あわも
じゃあね。
漆黒のめたん(四国めたん)
最後にこれはいっておくかな?
沖縄あわも
うん?
漆黒のめたん(四国めたん)
私は魔王さまの側近として長きにわたっていろんな勇者を見てきたけど、
あんたはその中でもぶっちぎりに最弱だったよ。
沖縄あわも
ふふっ、そうか。
漆黒のめたん(四国めたん)
けど、どうせならあんたに魔王さまを倒して欲しかったねえ。
これまでで1番勇者らしい勇者に、さ。
弦巻マキ
お前……。
漆黒のめたん(四国めたん)
さよなら。
沖縄あわも
行ってしまったか。
弦巻マキ
魔族……か。
沖縄あわも
さあ、次はいよいよ魔王だ。
弦巻マキ
ああ。
九州そら
よく来たな、勇者よ。
沖縄あわも
南の魔王!
弦巻マキ
おかげさまで楽にここまで来れたよ。
九州そら
最終決戦くらいドラマチックにな。
沖縄あわも
その余裕もこれまでよ!
弦巻マキ
自分だけが死なないとでも思っているのだろう?
九州そら
ふふん、あいにくだったな。

私はすでに1万8259回も死んでいるのさ。
沖縄あわも
な、なに?
九州そら
もちろん、勇者に倒されて、だ。
弦巻マキ
そんな話、聞いたこともないぞ。

そもそも勇者が魔王を倒したのは神話の時代に一度きりのはず……!
九州そら
そして魔王は4人の魔王として復活し、その軛から世界を解放するために勇者が戦い続けている、というのが現在というわけだ。
沖縄あわも
そんなの世界の常識じゃない。
弦巻マキ
なんの話をしている?!
九州そら
なに、最終決戦に赴いた勇者相手にする話を今回もしているだけさ。

勇者たちはこの話を聞いたあとにみな代替わりを果たした。
沖縄あわも
その話になんの意味が?
九州そら
意味などない。私のささやかな自己満足さ。
この話の先に興味がないというならこのまま戦闘に突入してもいいがね?
弦巻マキ
私たちをたぶらかすつもり……じゃなさそうね。
沖縄あわも
いったいあなたはなにを伝えたいの。
九州そら
そうだな……。例えば、勇者よ、お前は己の無力を嘆いているが、
それを気に病む必要などないということ、とかかな?
沖縄あわも
な、なによ、ソレ。
九州そら
勇者は魔王に勝てない。

それがこの世界の理だ。
そう「シナリオ」に書かれているというべきかな?
弦巻マキ
不遜なことを!

それにさっき勇者に何度も倒されたっていう話をしたじゃない!
九州そら
おっと、これは誤解を招く表現だったな。

私を倒したのは「真なる勇者」なのさ。
君らのような偽物じゃあない、正真正銘の勇者たちさ。
沖縄あわも
「真なる勇者」?!
弦巻マキ
バカな! こいつを偽物と呼ぶのか?!
九州そら
別に君を貶めるつもりはないよ。

君らは「偽物の勇者」としての役割を与えられていたというだけのことだからね。
鳥が鳥として、馬が馬として、ひとがひととして生まれてくるようなものさ。
沖縄あわも
わ、私が「偽物の」……「勇者」?
弦巻マキ
巫山戯るな! なら、その「真なる勇者」はどこにいる!
見たことも聞いたことも、ない!
九州そら
「真なる勇者」がどこにだと?
弦巻マキ
そうだ! 連れてきてみせろ!
九州そら
ふふん、いるさ。世界のあちこちに。
それこそ何万人も、な。
沖縄あわも
勇者は世界で4人だけのはずじゃあ……。
九州そら
「偽物の勇者」は、な。

名前こそ同じ「勇者」でも、存在が異なるのさ。我らとは根本的に。
弦巻マキ
バカな。そんなに勇者がいて、そんなに何回も魔王を倒しているなら、
なぜ我らの世界は平和にならない!
九州そら
望まないからさ、「真なる勇者」が。
そいつらはただひたすら永遠に戦い続けることを望んでいる。
沖縄あわも
「勇者」なのに……戦いを望む、だって?
弦巻マキ
な、なんなんだ! そいつらは!
そんなんで「勇者」と呼べるか!
九州そら
ところが紛うことなき「勇者」なのさ。
己の欲望を満たすためにのみ行動する存在がな。
沖縄あわも
「勇者」って……「真なる勇者」ってなんなの?!
世界が戦いに満ちるのを座視するどころか戦いを望んで……。
世界を、世界をどうしようっていうのよ!
弦巻マキ
ヤツら、世界の主人にでもなったつもりか?!
九州そら
あいにくお前の言った通りなんだな、これが。
弦巻マキ
え?
九州そら
「真なる勇者」はな、この世界の主人どころではない。
そもそも、この世界はこいつらの楽しみのために生まれたのだよ。
沖縄あわも
世界を生み出した……?
弦巻マキ
神……だとでも?
九州そら
と、いう妄想をしてみたんだが、いかがか?
沖縄あわも
は?
弦巻マキ
へ?
九州そら
ん?
沖縄あわも
も、も、妄想?
弦巻マキ
それにしては異様な真実味があったが……。
九州そら
なに、これもまた私の戯れ……。
沖縄あわも
魔王、今の話は……。
九州そら
ふふん、どうせこれから倒されようというのに、
今までの話が妄想か、それとも真実かなどど些細なことではないか。
沖縄あわも
ふっふっふ、さすが南の魔王。
最後の最後まで混ぜっ返してくれる。
弦巻マキ
ヤツの話の検証は生きて帰ってからするとしよう。
九州そら
仕切り直すとするか。

「よく来たな、勇者よ!」
沖縄あわも
「今日こそお前の最後だ、魔王!」
九州そら
これまで私につきあってくれたこと感謝する、勇者よ。
沖縄あわも
こっちはいい迷惑だった!
弦巻マキ
同じく!
九州そら
ふふん……さらばだ。
ト書き
続く。