くれないの空 第6回
くれないの空 第6回です。
引っ越す必要がある。
え? ここを?
十字聖教の連中に嗅ぎつけられるおそれがあるから。
そうなると、私も狩られてしまうのね。
吸血鬼にとって隠れ家は絶対的に安全な場所でなければならない。
もっとも無防備になる睡眠を取る場所だから。
もっとも無防備になる睡眠を取る場所だから。
でも、家なんてどうやって探すの?
最近は空き家物件が多いからね。
そこに潜めばいい。気配を消すのは得意だしね。
そこに潜めばいい。気配を消すのは得意だしね。
洋館みたいな家かと思ったけど、さすがにそれはないか。
目立ちすぎる。
じゃあ、どこか遠くへ行くの?
故郷を離れるのは心苦しいか?
ううん、こんな身体じゃね。
むしろ、知ってるひとのいない土地がいい。
むしろ、知ってるひとのいない土地がいい。
わかるよ。
どこへ行く?
!
!
(奴らか?)
(でもひとりみたい)
(どうやってこの場所を?)
(偶然、通りかかっただけとか?)
(それは期待出来ないだろうな)
隠れ家の前の通り。
ふん、この家か。
私のペンデュラムもなかなかだな。
時刻は夜。奴らが最も活発な時間。
私のペンデュラムもなかなかだな。
時刻は夜。奴らが最も活発な時間。
それをわきまえてここに来たのか?
一匹だけか。
去るがいい。勝てる道理はない。
ふふ、仮説の検証に来たのよ。
仮設?
門よ閉じろ! 「影牢(かげろう)」!!
檻を召喚したか。
が、これがどうした? 術者が一緒に閉じ込められては世話はない。
お前を殺せばいいだけのこと。
が、これがどうした? 術者が一緒に閉じ込められては世話はない。
お前を殺せばいいだけのこと。
その通り。
そしてこれが私の命を賭けた検証よ。
そしてこれが私の命を賭けた検証よ。
これがどうだという。
見ての通り、私の手に武器はない。
丸腰の少女さ。
丸腰の少女さ。
で?
殺せるかね?
馬鹿なことを……!
夜のお前の力なら、一呼吸もかからず私を殺せるはず。
なのになにを躊躇うね?
なのになにを躊躇うね?
気が向いていないだけのこと。
では、いつ気が向くのかね?
朝日を浴びて身体が消滅するまでか?
朝日を浴びて身体が消滅するまでか?
ぐ……!
「くれない」……その名の由来は、太陽の力がぎりぎり弱まった夕暮れ時に人の街を彷徨うことにあるそうだな。
……。
なぜ、そんな危険を犯す?
一番人間から狙われやすく、己の力も弱まっている時間だというのに。
一番人間から狙われやすく、己の力も弱まっている時間だというのに。
……。
だんまりか。
いいさ。私にはお前と違って刻限などないからな。
いいさ。私にはお前と違って刻限などないからな。
これが仮説の検証というのか。
ああ。「くれない」は私のような女子供を殺さない、というな。
そんな人道的な吸血鬼がいると?
私なら信じない。
が、「くれない」の行動を見てそう推理した。
馬鹿げた結論かね?
が、「くれない」の行動を見てそう推理した。
馬鹿げた結論かね?
ぐ……!
もう1匹をとっくに助けに呼んでいて当たり前なのにその気配もない。
どうやら本気で私の安否を気遣ってるらしい。
どうやら本気で私の安否を気遣ってるらしい。
今すぐにでも仮説が覆されると思わないのか?
思うさ。所詮吸血鬼のことだ。血に狂うケダモノ以下の存在だ。
それが命を大切にするなど笑止。
が、その気配はないな。
それが命を大切にするなど笑止。
が、その気配はないな。
こんな檻……!
無駄だ、不浄なるものよ。お前らに中からの破壊など不可能。
先刻のように霧と化せばすり抜けられも出来ようが、あれは1日1回だけしか使えなかったはずだな?
先刻のように霧と化せばすり抜けられも出来ようが、あれは1日1回だけしか使えなかったはずだな?
く……!
この期に及んで律儀な。ふふふ。
命を張った甲斐はあったかな?
命を張った甲斐はあったかな?
……。
続く。