ボカロ/ボイロ

Call to CallEp1-5

用語や世界観説明とか、そろそろ検討しなければいけない頃

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弦巻マキ
歌舞伎銀座ビル、ネーミングから迷走している感がある。町のはずれにある4階建ての雑居ビル。
テナントも撤退し、廃ビルの仲間入りを果たした、このビルの4階の部屋が、松屋の名を持つセーフハウスになっている。

この名前も昔は何でも銀座とかつけていれば繁華街っぽい空気出るだろう的な感じで名づけられたのかもしれない。
とはいえ、元々繁華街だった歌舞伎にまでつけるほどかな。と個人的には思うところ。
弦巻マキ
部屋の中はテーブル、いす、クローゼット、簡易なパイプベットだけしかなく、コンクリむき出しな壁とも相まって殺風景極まりない。ただ、水道電気は今でも通っているため、そこそこ文明的に生きようと思えば生きれる程度ではある。、

ゆかりんが来るまではやや時間がかかりそうだし、汗をかいてしまったので、ユニットバスを使って軽く汗を流す。タオルはクローゼットから拝借した。
弦巻マキ
シャワーを浴びてさっぱりした所で、扉があいて、ゆかりんが入ってきた、だいぶ走り回ったのか、疲労の色が濃いように見えた。
弦巻マキ
「おつかれー、ゆかりん。」
とタオル姿で片手を上げると、じろっと視線を送られた。
結月ゆかり
「マキさん、なんでそんなにくつろいでいるんですか。」
弦巻マキ
「え?いや、思ったより遅かったし、私も汗かいてたからさ、ゆかりんも入ってきたら?」
結月ゆかり
「追われている私を心配して、ちょっと助けようかな的な感情は?」
弦巻マキ
「ゆかりんなら大丈夫だと思ったので(棒)」
結月ゆかり
「薄情者~!!」
弦巻マキ
ゆかりんの罵倒を聞きながら、着替えをする。
今度私の着替えも置いておこうかな。
弦巻マキ
「で、成果はあったの?」
罵倒が途切れる事が無いので、話題が変わることを期待して言うと、途端に神妙な顔になった。
結月ゆかり
「ありました。確証までには至っていませんが、今回の薬物流通、主犯は、新都高校3年、佐倉美香。聞き覚えは?」
弦巻マキ
「ストームギャングだね。佐倉美香は、最近出てきた新派閥のリーダーで、確かメインの仕事は運び屋。
ストームギャングが結月組と協力関係になってから、経緯知らない新参が何回か自由と独立だーって叫んでたけど、ついに明確に離反の意思を示したという感じかな。」
結月ゆかり
「今や高等教育も全員が受けられるわけでもない世の中なのに、学校に通える身分で、ギャング活動とは、随分な事で。」
弦巻マキ
「ホント、驚きだよ。
まぁ、恰好良く映るらしく、一般で憧れて入ってくる人はいなくはないけど、ほとんど学校通えない層と、ドロップアウト組だしね。」
結月ゆかり
「そもそも、ストームギャングで派閥を持つことって、一般の女子高生が、短期間でできるものなんですか?」
弦巻マキ
「うーん、可能性として考えられるのは
  すごーく、うまい仕事を取ってこられる場合、私たちは何だかんだ言って、生活は苦しいからね。
  次に、喧嘩がすごく強い場合、これも言うまでもないね。力こそ正義の時代だし
  最後に、今言った2つのどちらかに繋がるパイプがある場合。」
結月ゆかり
「パルクール(ビルの間を飛んだりする)のテクニックは、あまり影響ないんですね。」
弦巻マキ
「万が一落ちた時の信用失墜と損害額が大きいからね。正直多少時間をかけても危ない道は通らないよ。
よって、テクニックよりお金が求められるわけです。」
結月ゆかり
「となると、一時のカリスマリーダーの美技と熱に打たれたわけではなく、少なくとも、結月に勝算がある程度の、組織を後ろに付けているというわけですか。」
弦巻マキ
「あ、最初から彼女がトチ狂った案は無いんだ。」
結月ゆかり
「トチ狂ったというなら一番楽ですね。たかだか多くて十数人の抵抗勢力程度、造作もないですし。」
弦巻マキ
相変わらず、明日の天気でも言うように宣言するなぁ。
こわいこわいっと。

「だとすると、ちょっとお使いで済ませる用事ではなくなったね。」
結月ゆかり
「そうですね。とりあえず、うちまで避難しましょうか・・・まぁ、私はお説教あると思うので帰りたくないですが、命大事ですし。」
弦巻マキ
どんよりするゆかりんの肩を軽く叩いたところで、携帯の着信音が鳴る。
着信欄を見ると、知らない番号。
ゆかりんの知り合いジェスチャーに首を振る。
一呼吸おいて、スピーカーモードにして通話ボタンを押した。
弦巻マキ
「もしもし、どちらさまでしょうか。」
モブ3
「電話口では初めましてになりますね。佐倉派総代、佐倉美香です。」
弦巻マキ
「そんな派閥名だったんだ。知らなかったよ。で、要件は何かな?」
モブ3
「こちら側につきませんか?弦巻さん。歌舞伎最大勢力のストームギャング”JAM”の総代のあなたがついていただければ、結月の支配から早晩に脱却できるでしょう。」
弦巻マキ
「意味が分からないな、仮に歌舞伎屋上のすべてのストームギャングが集まったって、結月には勝てない。私たちとホンモノのヤクザでは、土台が違うよ。」
モブ3
「ご冗談を、我々は集まれば総数100名近く、結月は精々50名程度の組織。
 懸念事項だった、銃器に関しても調達の目処がつきました。今こそ自由のために立ち上がる時です!あなたほどのカリスマを持つ指導者でしたら分かるはずです。」
弦巻マキ
「カリスマ?私はただ人より仕事の取り方がうまかった、それだけだよ。」
モブ3
「いいえ、あなたの駆け抜ける姿に心を奪われた人はたくさんいます!私だって!
だから、あなた程の方が、結月の飼い犬でいるのに我慢できないのです!あなたはもっと自由に空を飛べるはず!今こそ檻を抜ける時です!」
弦巻マキ
「それは自由じゃないよ、首輪のリードを、君の後ろの組織へ渡すだけの事、その程度も理解できないと思われてるなら心外だね。」
モブ3
「!、どういうことですか?」
弦巻マキ
「1つ、結月はヤクザだ。多少裏に片足突っ込んだ程度の女子高生に、調べられる程甘くは無い。

2つ、銃器は確かに昔に比べれば買いやすいけど、大量発注を、後ろ盾が無い個人が出来るものではない。

3つ、仮に、それがクリアできても、稼いだ金を、そんな目的で使うようなリーダーに普通のストームギャングはついていかない。」
弦巻マキ
「だとすれば、それらをクリアできる情報収集、調達力、統率または脅しの力を持つ必要がある。」
モブ3
「だとしたら、分かるでしょう。結月にいても踏みつぶされるだけですよ。」
弦巻マキ
「私は勝つ方に乗るよ、だから出せるカードがそれで全部なら、この話は終わり。」
モブ3
「そうですか・・・わかりました、さようなら、弦巻さん。大好きでした。」
弦巻マキ
電話が切れた。
ずっと黙って聞いていたゆかりんが、じろりと睨んでいる。
結月ゆかり
「マキさん、さっき、カリスマ性で人は集まらないとか言ってましたよね。」
弦巻マキ
「あ、あははは、でも!私意図的にやってないよ!私悪くない!」
結月ゆかり
「余計タチ悪いですよ。今回の騒動、うちは、マキさんのキマシタワ―建築のとばっちりじゃないですか。」
弦巻マキ
「そんなタワー建築こっちが願い下げだよ!どう考えてもヤンデレみたいなのに好かれてこっちだってうれしくないよ!」
弦巻マキ
そんなやり取りをしていると、ドタドタと音が階下から聞こえてくる。

「あー、もう!来てるよ!ゆかりん!」
叫びながら非常階段に通じるドア横に陣取り、革のグローブを両手にはめる。基本的に移動経路は1つの為、進行方向は把握しやすいのは唯一の救い。
結月ゆかり
「はいはいはい!分かってますよ!マキさん!これを!」
弦巻マキ
視線を向けると、ゆかりんはパイプベットを蹴り上げて立て、ベッド裏から取り出したハンドガンと、袖口から出したスタングレネードを私へ持ってきた。更にクローゼットの奥から、警察が使うような透明な盾を取り出す。
セーフハウスというより、ただの武器庫じゃないか、ここ。
結月ゆかり
「相手も武装しているでしょうし、手加減抜きで行きますよ。ここで首謀者まで捕らえます。」
弦巻マキ
「勝算は?足音から聞くに2~3人じゃなさそうだけど!」
結月ゆかり
「いつから、セーフハウスが身を隠す場所だと錯覚していました?ということで、マキさん、目を閉じて耳をふさいで口は開ける!」
弦巻マキ
そういって、ゆかりんはおもむろに壁についた、いかにも後付で付けたような、無骨な配線がからまった、ボタンを押す。
弦巻マキ
轟音と震動、そして悲鳴。
私は理解した、ゆかりんにとってセーフハウスは身を隠す場所ではなく、相手をおびき寄せ殲滅する為の罠だったのだと。