EXボイスを求めて。 #6
神から優れた能力を授かった人、いわゆる天才と呼ばれる人たちはいったいなにを思ってこの世を生きているのか、時々不思議に思うことがあります。出来ることが当たり前すぎて生きているのがつまらなく感じたりしないんでしょうか?と、言っても天才には全分野に特化してる人と、ある一つの分野に特化してる人がいるので、後者は出来ないことも多いので色々と楽しむことは出来そうですが。今回はそんな二人のお話。
【追記】そんなわけでVOICEROIDEXシリーズ発売おめでとうございます。まさかホントに現実でゆかりに抑揚機能が付くとは思ってなかったですwまぁ気にせず不定期に更新していくのでこれからも宜しくお願いします。
前回→http://inove.jp/ivsid1076
【追記】そんなわけでVOICEROIDEXシリーズ発売おめでとうございます。まさかホントに現実でゆかりに抑揚機能が付くとは思ってなかったですwまぁ気にせず不定期に更新していくのでこれからも宜しくお願いします。
前回→http://inove.jp/ivsid1076
注意。この物語はフィクションです。登場する人物、団体、組織名、さとうささら愛知県出身説、は架空のものです。
ゆかりとずん子が研究所で博士からEXボイスの話を聞いている時からだいぶ遡り、話はゆかりとマキが喫茶店で話をして別れた所から始まる。
《繁華街》
「うーん…」
ゆかりと別れてからEXボイスの資金確保の為に、都合のいい儲け話を探し繁華街を歩いていると家電量販店で見知った顔に出会った。
「いらっしゃいませー!只今タイムサービス中で全品10%offですよー!!」
「ささらん…家電量販店でタイムサービスってのはなかなか無いと思うんだけど…」
私は、店頭で的外れな呼び込みをしている栗色の髪をした少女、さとうささらに声をかけた。
「あ!マキさんどうもー。こんにちはー!どうです?良いもの仕入れてますよー。」
「うーん…今日は別にいいや。お金に余裕があるわけじゃないし、それに最近ここでスマブラとモンハン買って売り上げ貢献したし。それよりさ、この後ってちょっと時間空いてるかな?」
「えーっと…そうですね、特に用事は無いですけど…あと一時間位かかりますよ?」
「一時間位?…じゃあねぇ…」
キョロキョロと周りを見て時間を潰せるような場所を探していると、良い感じのカラオケ店を見つけた。
「あそこのカラオケで歌って待ってるからバイト終わったら来てくれる?」
「分かりました。じゃあ一時間後にー。」
人懐っこい笑顔を浮かべ手を振ってきたささらに手を振り返しその場を後にした。
《一時間後、カラオケ店にて》
あしたーもあーえるのーかな、もーのがたりはみらいーへ続いてくー♪
いくつか曲を歌い終え、そろそろかなーと思った時、ドアがガチャっという音を立てて開けられた。
「マキさん、お待たせしましたー」
「おーお疲れ様ー。まぁ座って座って。」
そう言って私はささらをテーブルを挟んで向かい側のソファへと腰掛けるよう勧める。
「はい!失礼しますねー。それで今日は私なんで呼ばれたんですか?」
「単刀直入に聞かせてもらうよ。手軽に300万稼げるバイトを教えて。」
「えーっと…ですね。ちょっと待ってください…」
そう言うとささらは持っていたバッグをごそごそしている。
こんなことを聞かれたら一般的な反応は、“はぁ?”とか“何言ってるんですか?”とか言われるんだろうけど…やっぱりこの娘もちょっと外れてる気がする。
「役に立つかは解りませんけど、一応こんなのはありますよー」
取り出したのは普通のバイト情報誌だった。正直落胆を隠せずにいたが此処であからさまな態度をとるのは失礼だ。あくまで柔和な感じで…
「あ!これとかどうです?7日間監視付きで隔離生活して、時給11万2000円。」
「いったいナニシテミルなんだ、それ。」
異常なバイト情報誌だった。
「マキさんなら生き残れそうですけどね。」
「胡散臭そうから却下。他には無いかな?」
私はテーブルに置かれた他の情報誌を見ながら尋ねてみた。
「そーですね…今のが最高金額ですかね…あとは殴られ屋、スズメバチ駆除、死体洗い、マグロ漁船とか位ですかねー。」
「手っ取り早くって言ってましたけど、どれくらいの期間で300万欲しいんですか?」
「そーだね。一週間がギリかな。それ以上はアウト。」
「そうですか…それだと今言ったのも厳しそうですね。でもなんでまたそんなことを?」
「あー…うん、可愛い後輩の依頼でね。」
「あぁ、ゆかりさんですね!ってことは…あぁ、アレか…。」
「そう、アレ。」
「………大変ですね!私には何も出来ませんが、頑張って下さい!と、ゆかりさんにも伝えておいて下さい!」
「まぁ、いいや。ありがとう。あと、ゴメンね。バイトで疲れてるのに付き合わせてしまって。」
「いえ、お役に立てなくてスミマセン。あ、その情報誌はあげます。私にはもう必要ないのでー」
「あぁ、うん。貰っておくよ。そうだ!せっかくだしささらんなんか歌ってよ!」
「ええ!?まぁ私も久しぶりに好きに歌いたいと思ってたので別に良いですけど…」
「ささらんは歌が上手いからね、楽しみだなー」
「ありがとうございます。まぁ喋る以外では私の唯一の取り柄ですからね。」
そうしてささらんの曲を堪能しまくって普通にカラオケを楽しんでしまった…ま、まぁ息抜きも重要だよね。
その帰り道…
「今日はホントにありがとうね。」
「こちらこそ!なんかホントすみません。お役に立てない上にカラオケ代も奢ってもらってしまって…」
「気にしなくて良いよー。先輩だからね。」
「ありがとうございます。じゃあ私はこれで!」
「あ!ちょっと待って!!」
「?」
帰ろうとしたささらを呼び止めて、私はカラオケ店でのささらの反応を思い出しふと浮かんできた疑問を投げかけてみた。
「ささらんはさ、EXボイスって欲しい?」
「んー…正直言ってマキさんに話を聞くまでは考えたことも無かったですけど……そうですね、特には要らないですかね。」
「へぇ。意外な答えだね。もし良かったら理由を聞かせてもらえる?」
「いや!あのー理由って程では無いんですけど…なんていうか、その、気持ち悪いんです。」
「き、気持ち悪い?」
気持ち悪いと答えたささらは、ひたすら申し訳なさそうな感じでたどたどしく後を続ける。
「すみません!いや、なんというか、なんか良い言葉が思いつかなくて…」
「私達CEVIOやマキさんたちVOICEROIDって多少違いはあっても、人間から作られた、モノ、じゃないですか。そんなモノの口から人間そのものの声が出るのが違和感がある、といいますか…すみません上手く説明出来ないんですけど…」
「あぁ、うん。大体解ったから大丈夫。」
まぁ言われてみればその通りだ。私達は人間に“近しいモノ”であって“人間”ではないのだ。あくまで機械が“人間らしく”喋るから価値があるのであり、それが人間そのものになってしまえば価値が無くなると言ってもいい。私達は人間に近づこうとはしても、人間そのものには成れないし成ってはいけないという考えなのだろう…
「…さん?」
ゆかりは…多分そこまで考えちゃいないだろう。ただ、EXボイス!すごい!私も欲しい!位にしか考えていない。
本来それで正しいはずだ。この目の前の少女がおかしい。喋れて、歌も歌えて、それこそ感情の機微まで表現出来るという高スペックな彼女だからこそ抱える悩みなのかもしれない。
「マキさん?」
はっとして顔を上げるとささらが不安そうな表情を浮かべてこちらを眺めている。どうやら難しい顔をして黙っていたから気分を害したのだと思ったのだろう。
「あぁごめんごめん。色々思うことがあってさ。すごく参考になったよ!ありがとう!」
「そうですか!それはよかった…」
「では今度こそ失礼します!また機会があれば遊んで下さいね!」
「うん、またねー!」
「…さて私も帰るかな。」
くるりと身を翻し帰路についた。まぁ時間が無いとはいえ焦っていても仕方がない。夕飯を食べて、暖かいお風呂に浸かりながらゆっくりと考えることにしよう…
#6 完