ボカロ/ボイロ

銀色の道(前篇)

イタコが以前撮ったビデオから存在が判明した謎の神社。正体に迫ろうとうさぎやめたんの協力を得て調査する内に、話がどんどん大きくなってしまい……。

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ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
(——夕方、東北家の居間——)
東北きりたん
——うーんと、これで全部ですか?
東北イタコ
多分そうですわね……。じゃあ、ディスクに書いておきましょうか。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
折からの梅雨空で夕焼けも見えぬある日の夕方、ずん子が学校から戻って来ると、居間で何やらきりたんとイタコが大量のDVDらしきディスクと戦っていました。
東北ずん子
ただいまー……って、どうしたのこれ?
東北イタコ
あ、ずんちゃん、おかえりなさい。これなんですけどね……あたしが今まで撮ったビデオのDVDなんですの。
東北ずん子
えええっ!?こ、これ軽く三十枚はあるんだけどっ!?∑(゚◇゚ノ)ノ
東北きりたん
——撮影魔ですからね、タコ姉さまは……。
東北イタコ
う……否定出来ませんわ。(´ω`;)
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そうなのです。今ここにうず高く積み上がっているのは、何とイタコが撮影したDVDでした。ただでさえ理由をつけては撮影したがるので、こうやって枚数も増えてしまうというわけです。
東北ずん子
……な、何だかなあ。わたしの映像ばっかでこの枚数とか……。(;-ω-)ゞ
東北イタコ
ちょ、ちょっと待って下さいな。確かにずんちゃんのビデオがかなりありますけど、修学旅行や今の職場での研修の合間に趣味で撮影したのもあるんですのよ。去年、東京の府中市であった研修の時、そこでついでに地元のお祭りを見て来たんですわ。変わっていたんで撮って来たんですの。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そう言ってイタコがプレーヤにDVDをかけると、果たしてすさまじい人ごみの向こうで神輿が渡御する場面が出て来ました。
東北イタコ
普通のお祭りと違って、随分遅い時間でしょう?これ、もう七時近いんですのよ。あたしは次の日があるんで戻りましたけど、ここからいろいろな所を回って、十一時には流鏑馬(やぶさめ)を行ってこの日は終了。お神輿が戻るのは早朝四時ですの。
東北ずん子
本当にすごいお祭り……東北にも夜のお祭はいっぱいあるけど、お神輿が夜中に出るのなんて初めて聞いたなあ。
東北イタコ
知っていて損はありませんわ。大国魂神社(おおくにたまじんじゃ)の例大祭「くらやみ祭」。(。・ω・。)ノ
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そうイタコが言った時でした。急にずん子が訝しげな顔になりました。
東北ずん子
大国魂神社……?東京の神社だったっけ?(´・_・`)
東北イタコ
え、ちょっと待って下さいまし!?大国魂神社は東京の神社ですわよ!?∑(゚д゚;)
東北ずん子
でも大国魂神社って、東北の神社のはずじゃ……。それもお祭りは同じ時期だけど、お神楽が七つあって、それがとっても有名だって聞いたよ。
東北きりたん
——それ、誰から聞いたんですか?
東北ずん子
いや具体的に聞いたわけじゃないんだけど……もう卒業しちゃった先輩がまだいた頃、地元でそんなことをやるって話してるのを小耳にはさんだんだ。
東北イタコ
その人、東北の人ですの?どこの出身?
東北ずん子
うん、東北は間違いないんだけど……どこかまでは忘れちゃった。(・_・`;) 大体にして直接話したわけじゃなし、もしかすると聞き間違いかなあ……。(ノД`;)
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
さすがにこの話には、一同困り果ててしまいました。直接聞いたならともかく小耳にはさんだだけでは、実に曖昧模糊とした話です。
東北イタコ
うーん……。じゃあ、調べてみましょうか。
東北ずん子
えっ!?∑(゚◇゚ノ)ノ
東北きりたん
——えっ!?
東北イタコ
そんなに驚かなくてもいいじゃありませんの……。(;-ω-)ゞ ただ仕事をやる上で、そういった疑問は解消しておかないといつ差し支えが出るか分かりませんもの。だって口寄せの前に、地図や事典を開いてああだこうだはないでしょう?
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
確かにイタコの言うことも納得出来ます。イタコの仕事場にはいろいろなところから人が訪ねて来ますから、なるべくローカルな知識は仕入れておくに越したことはありません。
東北ずん子
じゃ、じゃあとりあえず文明の利器で!
東北きりたん
——え、えーと……。そうしたいのはやまやまなんですが……今朝からルータがおかしいみたいで、何度やっても接続出来ないんですよ。サポートに電話したら、修理に一週間くらいはかかると言われるほどで……。
東北ずん子
うっわぁ、これは反則だよ……。(;-ω-)ゞ
東北イタコ
埒が明きませんわね……これは、図書館に行った方がいいかも知れませんわ。そらちゃんなら一発でしょうけど、確かメンテでいないんでしょう?
東北ずん子
そうなんだよねえ。必要なことだから仕方ないけど、間が悪いなあ。
東北きりたん
——どこ行くんですか?
東北ずん子
うちの町の図書館は専門書はあまりないし……学校の図書館かな。先生向けにいろいろあるし。それに、外部者にも開放してるから、全員で行けるしね。
東北イタコ
じゃあ、そうしますか。代休で明後日から三連休取ってありますし。
東北ずん子
……うーん、東北、東北のどこだろう……うーん。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
こうして謎の「東北の『大国魂神社』」についての調査を始めることにした三人でしたが、まさかこれが、のちのちあのようなことになるとはこの時誰も思わなかったのでした。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
(——二日後、ふるさと女学院図書館——)
東北ずん子
さて、と……来たはいいけど、何見ればいいかなあ。
東北イタコ
とりあえず、事典じゃありませんの?
東北きりたん
——神社専門の事典ですか。そんなのありますかね?
東北ずん子
多分、行けば分かるんじゃないかな。(・_・`;) 事典は……ああ、あそこだよね、あの「総記」の棚。
東北イタコ
噂をすれば影みたいですわね……ずんちゃんの前の棚に、『神社事典』って本がありますわよ。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
何とあっさり発見です。ですが、相当高い位置に排架されてしまっています。
東北イタコ
うう……ぎ、ぎりぎりですわね……!(Д`#;)
東北ずん子
姉さま、危ない!……踏台を持って来ないと!
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
大きな図書館には、高い書架の本を取るために必ず専用の踏台があります。それが手前の書架の角にあるのを認めて、ずん子が走り、手をかけたのですが……。
東北ずん子
……あっ、ご、ごめんなさい。急いでますか?
漆黒のめたん(四国めたん)
いえ、あたくしは……って、ずん子!?
東北ずん子
え、め、めたんちゃん!?∑(゚◇゚ノ)ノ
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
何と、同じ踏台をめたんと引っ張り合ってしまったのです。踏台の奪い合い自体はよくある話ですが、まさか意外な知り合いとそうなるとは……。
中国うさぎ
………………わたしもいる。
東北ずん子
う、うさぎちゃんまで!?どういう組み合わせ!?
漆黒のめたん(四国めたん)
簡単に言うと、うさぎの『手助け—ヘルプ—』よ。
中国うさぎ
………………見れば分かる通り、わたしは「いなば」を一瞬でも持っていないと力が暴走する。どうしても片手がふさがるから背丈より高い本は取れないし、踏台を持って来ようにも大変。
東北ずん子
あー……それじゃあ助けがいるはずだよ……。(・_・`;)
中国うさぎ
………………その通り。さすがに、図書館中の人を裸にするわけにはいかないし、ものが壊れてもいけない。……めたんの人には、迷惑をかけて申しわけない。
漆黒のめたん(四国めたん)
あ、いいのいいの。どうせ『暇—ヴァカンス—』してたところだったし。
東北ずん子
(めたんちゃん、さすがに昼間はテントにいないんだね……)
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そんなことを考えながら、めたんの生活環境に思いを馳せていた時です。
東北ずん子
あ、そうだ……!餅は餅屋!∑d(゚∀゚d) うさぎちゃん、巫女さんだから神社の知識はあるよね?
中国うさぎ
………………ものによるけど。一体どうしたの。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そううさぎが問うた時、ひょこひょことイタコときりたんがやって来ました。
東北イタコ
どうしたんですの、ずんちゃん?……ってあら、めたちゃんとうさちゃん!
東北きりたん
——随分珍しいですね。
漆黒のめたん(四国めたん)
こ、こんにちは……三姉妹揃ってどうしたんです?
中国うさぎ
………………イタコの人、きりたんぽの人、二人とも久しぶり。……何だか神社関係で調べものと、ずんだの人から聞いた。
東北イタコ
そうなんですわ。かくかくしかじか……。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
訊ねられたイタコほか三姉妹が、これまでの経緯を話しました。するとうさぎは、ひとしきり首をひねった後……。
中国うさぎ
………………東北の神社はつかみきれてないから、一発でここだ、と言うことは不可能だけど……使える文献はいくつか浮かぶ。一番いいのは、全国の神社を束ねる神社本庁の『神社名鑑』なのだけど。
東北きりたん
——じゃあ、さっきの場所ですね。探して来ます。
中国うさぎ
………………あ、ストップ、きりたんぽの人。ここの『神社名鑑』は、誰かが頁を破ったか何かしたみたいで、「修復中」とOPAC(オパック、電子目録)でも表示されてる。
東北イタコ
こんな時に……どこのどいつですの……。(^Д^#)
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
図書館の世界では「本の最大の敵は人間である」といいます。それをまざまざと見せつけられたイタコは、引きつった笑顔で切れかかっています。
漆黒のめたん(四国めたん)
まあまあ、イタコさん……そんなに怒らないで。
中国うさぎ
………………まだ調べる手段がないわけじゃない。『延喜式神名帳(えんぎしきしんみょうちょう)』を見ればいい。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そう言うと、うさぎはめたんと一緒に奥の本棚に行き、達筆で『新訂増補國史大系』と箔押しされた本を取り出して来て、一同の前で押し開きました。
中国うさぎ
………………これは『養老律令』の施行細規則を定めた『延喜式』。そもそも「令」というのは本当に基礎的なことしか規定していないから、こんなものが必要になる。この「神祇」の巻九と巻十が『延喜式神名帳』。
東北ずん子
んっ?……ずーっと、神様や神社の名前が続いてる。
中国うさぎ
………………少し詳しく言えば、主に祈年祭(としごいのまつり)という新年を祝う祭りの時に幣帛(へいはく、布や神酒など各種の供物)をもらえる神社の一覧。
東北きりたん
——なるほど、古代のことは古代の文献に訊け、ということだったんですか。
中国うさぎ
………………きりたんぽの人の言う通り。東京の大国魂神社を除く、全国の大国魂神社やそれに準じる名前の神社が引っかかっているから、ここにあってもおかしくない。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そう言いながら、うさぎはぱらぱらとめくり始めます。『延喜式神名帳』には地域分けがあるので、時折止まりながら探しているようです。
中国うさぎ
………………あった、陸奥国。国は広いけど、数は意外と少ない。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そう言いながら、うさぎは一同の前で文字をたどって行きます。その時です。
中国うさぎ
………………あ。
東北ずん子
これ……。
東北きりたん
——ですね。
東北イタコ
まさか載ってるとは……。
漆黒のめたん(四国めたん)
しかも郡の先頭にでかでかと、って何よ。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そうなのです。何と、めくった二頁先の「磐城郡」の冒頭に、「大國魂神社」とどかん、と書いてあったのです。
中国うさぎ
………………引っかかってくれてた。十中八九これが「東北の『大国魂神社』」。
東北ずん子
あっさり見つかったねえ……。(・_・`;)
東北イタコ
ですわね。古代の大和朝廷に感謝といいますか、何といいますか。(;-ω-)ゞ
東北きりたん
——でも、気になることがありますね。さっき、うさぎさんは多くの「大国魂神社」やそれに類する名前の神社が引っかかっている、と言ってました。そこには何か意味があるんでしょうか?
中国うさぎ
………………「国魂」とは、「国に宿る魂」「国に住まう神」というような意味合いがある。だからこれを祀る神社が重要視されてもおかしくない。それに、国府とも関係が深い場合がある。分かりやすい例だと「尾張大国霊神社(おわりのおおくにたまじんじゃ)」はずばり「国府宮(こうのみや)」と呼ばれて、尾張国府と結びついている。
漆黒のめたん(四国めたん)
国府は、国の中心のお役所だものね。それなら重要視されるはずだわ。
東北きりたん
——それにしても、これどこなんでしょうね?
漆黒のめたん(四国めたん)
確か……入口近くに地名辞典と地図があったわ。取って来るわね。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そう言うとめたんは、地名辞典の他、東北全県の市街地図を確保して来ました。
東北ずん子
ありがとう。ええと……磐城郡、磐城郡……あった、「現在のいわき市のほぼ全域に相当」。市の名前そのままだね。
東北イタコ
じゃあ、いわき市で探せばいいですわね。えーと、いわき市、いわき市……あ、ありましたわ。すごく分かりやすいところに。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
イタコのその言葉に、一同が沸き立ちましたが、イタコが見せた地図を見て一気にトーンが下がりました。
漆黒のめたん(四国めたん)
イタコさん……これ、須賀川市ですよ。
東北イタコ
あ、え……あ。しかも社号が「顕国魂八幡神社(あきらくにたまはちまんじんじゃ)」……間違えるにも程がありましたわね……。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
と、その時です。イタコの言葉を聞いて、うさぎが驚いたような声を上げました。
中国うさぎ
………………!?もしかして……!
東北ずん子
あ、うさぎちゃん、どこに!?
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
あっけに取られる一同を置き去りにして飛んで行くや、十分ほどでうさぎはハードカヴァーでまとめ製本された雑誌を持って来ました。
中国うさぎ
………………一つ、興味深い話があるのを思い出した。この論文。
東北ずん子
えーと……「石城(いわき)・石背(いわせの)国建置廃止に関する考察」?
東北イタコ
ちょっと見せてくださいまし。
東北ずん子
あ、はい。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
まじめな顔になってずん子から雑誌を受け取ると、イタコはつぶさに読み始めます。ですが、そうしているうちに、その顔が驚きに満ちて来ました。
東北イタコ
これは……!あたしも初耳ですわ!∑(゚д゚;)
東北きりたん
——一体何なんですか?
東北イタコ
石城国と石背国……かつて陸奥国の最南部、つまり福島県内を縦に分割して作られ、すぐに消えた幻の国、とのことですわ。
東北ずん子
えっ!?∑(゚◇゚ノ)ノ
中国うさぎ
………………イタコの人がさっきつぶやいた「顕国魂八幡神社」の元になった「顕国魂神社」は、この石背国と関係がある上、駅のすぐ裏の「上人坦廃寺(しょうにんだんはいじ)」はその国府ではないか、という説をこの論文で見た。ここから、その隣にある石城国にも同様のことがあった可能性があると思って請求した。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
そうなのです。陸奥国からの分割で作られたというと、現在の山形県と秋田県に当たる出羽国が真っ先に思いつくところですが、その他にも分割されて置かれた国が今の福島県にあったのです。
中国うさぎ
………………石城国は確か、今の浜通りに当たる部分。少し隣の宮城県にもかかっていたと思う。
東北ずん子
あ、本当だ。「福島県浜通りと宮城県南部海沿いの一部」。
東北きりたん
——え、じゃあ、いわき市がばっちり入ってるじゃないですか!
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
「浜通り」とは、福島県独自の地域区分です。県東部の海沿いを「浜通り」、県中央部を「中通り」、そして県西部の山の方を「会津」と呼ぶのです。それぞれの代表都市はいわき・福島・会津若松ですから、きりたんの言う通り、すっぽりと国内にはまっているのです。
東北イタコ
でもうさちゃん、これ長くても十年、下手すればそれ以下しかもたなかったって書いてありますわね……本当に幻ですわ。
中国うさぎ
………………イタコの人の言う通り「幻」。でもそこにある通り、律令に載るくらいの機能は有していたし、石背国では「顕国魂神社」という「国魂」を祀る神社を造るということが行われた。となると、石城国でもそれくらいのことはやったはず。
漆黒のめたん(四国めたん)
つまり、このいわきの大国魂神社、石城国と関係が深いってことでいいのかしら?
中国うさぎ
………………多分そう。しかも、国府自体とかなり強い関係があった可能性がある。国府跡こそ出ていないけれども、論文によると近くに大きな官衙、つまり役所の遺構が出てるとも書かれているから、可能性は非常に高い。
東北イタコ
じゃあ尾張国と同じように、強い関係で結ばれていた可能性があったんですわね。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
とりあえず横道にそれましたが、神社の特定はほぼ出来ました。後は、例大祭の話です。ずん子は、ひとしきり日本の民間習俗・祭礼に関する事典を探して持ち出すと、「福島県」と「大国魂神社」の項目を探し出しました。
東北ずん子
「例大祭は五月三〜五日」「当神社では『大和舞』と呼ばれる神楽が七座奉納され、稚児舞も行われる。これらは昭和二十年代以降長く途絶えていたが、昭和六十年に再興、現在ではいわき市無形文化財の指定を受けている」……決まり!
東北イタコ
時期、内容、全て平仄が合いましたわね。
東北きりたん
——場所はいわき市のどこなんですか。
漆黒のめたん(四国めたん)
えーと、地図によると……いわき駅から数キロかしら。しかもまんま「大国魂神社」って停留所あるし……多分これ、乗合自動車で普通にいわき駅から行けるんじゃないの。
東北ずん子
そんなところに幻の国と関係の深い神社があるなんて……世の中、分からないよねえ。古代の浪漫ってやつかな。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
と、ずん子が感心したように言った時です。イタコが腕を組んでひとつ首を傾げたかと思うと、驚くようなことを言い出しました。
東北イタコ
行ってみましょうか。明後日にも都合がつくならみんなで。こういう古代の「謎」をこの眼で見てみるのも、浪漫があって楽しいと思いますわよ。
東北ずん子
ええっ!?∑(゚◇゚ノ)ノ
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
イタコの提案に、ずん子はじめ全員が驚きを隠せません。これで調べがついて終わり、と思っていたのですから。
中国うさぎ
………………イ、イタコの人、都合はつくけど……交通費は。
漆黒のめたん(四国めたん)
あたくしも、月末で素寒貧の状態なんですけども……。
東北イタコ
あたしが出しますわ。探せばお得な切符もあるでしょうし、なかったらなかったで別に構いませんわ。
東北ずん子
いや、生活費は?
東北イタコ
ポケットマネーがありますのよ……社会人をなめてもらっちゃ困りますわ。
東北きりたん
——さてはタコ姉さま、自分だけおこづかいの取り分多くしてますね?
東北イタコ
はいはいはい、そこ、突っ込まない!さあ古代の、それも幻をたどる旅……否応なしに血がたぎって来ましたわ!
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
どこぞの元テニス選手のごとく鼻息荒くぐっ、と拳を握りしめるイタコの迫力に、一同顔を見合わせてしまい、結局彼女の提案が通ることになったのでした。
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)
(続く)
ト書き(「なれーたーずん子ちゃん」に相当)