恋に恋する人間は付き合うまでも付き合ってからも面倒くさい――東北ずん子小説魔法少女編:第15話
毎年、四月から六月は最もカップルが成立しやすい時期だと言われています(他人事)。新しい環境でやる気を出し、新しい人に会い、頑張ってアプローチをかける人が増えるということなのでしょう(他人事)。ちなみに、好きになる人のタイプというのはなかなか変わらないので、焦りすぎて色々痛い目に遭ってもまた同じタイプの人を好きになってしまうようですよ(他人事)。
(――東北家・玄関――)
えっ? 何を?( ;・∀・)
夏を思わせるような日差しの昼下がり。
土曜日を満喫していたずん子たちのところに、紙束を抱えてうさぎがやってきました。
土曜日を満喫していたずん子たちのところに、紙束を抱えてうさぎがやってきました。
……………………これ。
400年前の『巫女みこ精霊辞典』――をマイクロフィルム化したやつを、pdf化して、印刷してきたやつ。
400年前の『巫女みこ精霊辞典』――をマイクロフィルム化したやつを、pdf化して、印刷してきたやつ。
うわあ、巫女業界にもデジタル化の波が……( ゚∀゚; )
……………………ここ。
あなたがいうところの「たんちゃん」という精霊の姿が確認されて、記録されている。
あなたがいうところの「たんちゃん」という精霊の姿が確認されて、記録されている。
――えっ!?
――ち、ちくわとは全然違うじゃないですか!
訴えますよ巫女みこ協会!!
訴えますよ巫女みこ協会!!
……………………致し方ない。
400年前の当時はきりたんぽの存在はそれほど広く知られていなかったし。
400年前の当時はきりたんぽの存在はそれほど広く知られていなかったし。
き、気を取り直して……( ;^ω^)
「主に東北地方に生息。
本来は少女の背中に取り憑き、その少女が精神的に成熟するのを見守る性質を有する(と、精霊本人が言っていた)ものの、本書記録時にはその行動は観測されていない」。
「主に東北地方に生息。
本来は少女の背中に取り憑き、その少女が精神的に成熟するのを見守る性質を有する(と、精霊本人が言っていた)ものの、本書記録時にはその行動は観測されていない」。
――えっ。
……じゃあ、たんちゃんはわたし以外の背中に取り憑くこともあるんでしょうか?
なんだか複雑ですね……。
……じゃあ、たんちゃんはわたし以外の背中に取り憑くこともあるんでしょうか?
なんだか複雑ですね……。
……………………いや、そうとも限らない。
こっちは、25年前に編纂された『巫女みこ精霊辞典』の最新版。
こっちには――ほら。
こっちは、25年前に編纂された『巫女みこ精霊辞典』の最新版。
こっちには――ほら。
(「あたしの」って……( ゚Д゚; ) 例の一件から完全に主従関係が逆転してるね……)
……………………この辞典は、四半世紀に一回編纂され、その当時に観測された精霊のみが記載される。
NHKは400年前からずっと登場している一方で、「ちくわもどき」の方は……。
NHKは400年前からずっと登場している一方で、「ちくわもどき」の方は……。
――ちくわじゃありません!
えーっと、どういうこと?(´・ω・`)
あ、うさぎちゃんお水飲む?
あ、うさぎちゃんお水飲む?
おそらく、たんちゃんは現代に生まれ、400年前にタイムスリップした、ということですわね(`・ω・´)
そして、そのタイムスリップの原因が――。
そして、そのタイムスリップの原因が――。
――NHKさんとの痴話喧嘩、ですか……。
慣れない長台詞をしゃべったうさぎが水を飲んでいる間に、頭の回転の早いイタコときりたんが状況を理解します。複雑な表情で。
……………………恋仲?
考えにくい!
さすがのあたしでも考えにくいですわ!ヽ(゚`Д´゚)ノ
さすがのあたしでも考えにくいですわ!ヽ(゚`Д´゚)ノ
ま、まあまあ( ゚∀゚; )
確かにイメージしづらいけど、愛の形は人……いや精霊それぞれだから……。
確かにイメージしづらいけど、愛の形は人……いや精霊それぞれだから……。
それにしても、なんで別れてるんでしょうか。
あのキツネにいたっては顔も合わせられないって感じだったし……( ;゚─゚)
あのキツネにいたっては顔も合わせられないって感じだったし……( ;゚─゚)
――そもそも、どこに惹かれ合ったのかすら……。
わたしが3歳から6歳の間に付き合い始めたとか言っていましたけど。
わたしが3歳から6歳の間に付き合い始めたとか言っていましたけど。
……………………うーん……。
(……み、みんな経験がないせいで話にならない……・゚・(PД`q。)・゚・)
(――翌日。東北地方・某商店街――)
ほら、最初に「愛」って言ったのめたんちゃんじゃない?ヽ(´▽`)ノ
だから何か分かるかなって思って。
だから何か分かるかなって思って。
ずん子たちが真っ先に声をかけたのは、めたんでした。
お昼ごはんをごちそうする代わりに、みんなで囲んで聞き取りをしています。
お昼ごはんをごちそうする代わりに、みんなで囲んで聞き取りをしています。
えっ!? なにそのアンテナみたいなの!?∑(゚ω゚ノ)ノ
これ、嘘発見器ですわ。
あたしが昨日連れ戻してきたNHKが身体の中に入っていますから、もし正解にたどり着いたら――ヽ(゚∀゚)ノ
あたしが昨日連れ戻してきたNHKが身体の中に入っていますから、もし正解にたどり着いたら――ヽ(゚∀゚)ノ
イタコが試しにボタンを押すと、「ピンポーン!」という音が鳴りました。
どうやらこれが、正解のチャイムのようです。
どうやらこれが、正解のチャイムのようです。
『ではぁ、まーくつーの脳内ライブラリに収録されている恋愛小説一覧からぁ、しらみつぶしにカップル成立の動機を紹介していきましょうか~?』
――小説ですか。
最近のヒロインはチョロいから、痴話喧嘩して400年前に籠城するような子はいないのでは……?
最近のヒロインはチョロいから、痴話喧嘩して400年前に籠城するような子はいないのでは……?
(それは一部の話ですわ、きりちゃん……( ;^ω^)
他の本も読みましょうね……)
他の本も読みましょうね……)
!
そ、そうそう、それよ!
そもそも、わたくしにはおよそ人間の感情は希薄なの!
だから、『重石―恋―』なんてもの、はるか昔に捨ててきたわ!
そ、そうそう、それよ!
そもそも、わたくしにはおよそ人間の感情は希薄なの!
だから、『重石―恋―』なんてもの、はるか昔に捨ててきたわ!
えっ、新しい設定?ヽ(・∀・)ノ
……はっ!?
(すっかり漫才ですわね……( ;・`д・´))
でも、そうかー。
神様? 精霊? 同士の恋愛だし、人間の尺度で測ってもいいのかなあ(´・ω・`)
神様? 精霊? 同士の恋愛だし、人間の尺度で測ってもいいのかなあ(´・ω・`)
『いやいやぁ、まーくつーの観察ではぁ、人間以上に人間らしいところもありますよぉ、あのお二方♪』
……そうね。
それにはわたくしも同意するわ。
それにはわたくしも同意するわ。
――たんちゃんは三人目のおねえさま、って感じでしたね。
あのキツネは……(# ^ω^)
まあガキっぽい印象しかありませんけど、一応何百年も生きてますからね。
まあガキっぽい印象しかありませんけど、一応何百年も生きてますからね。
となると、一人しかいません。
ずん子たちはめたんとそらに礼を言って、次なる場所へと向かいました。
ずん子たちはめたんとそらに礼を言って、次なる場所へと向かいました。
(――東北地方某所・「大都会」アジト――)
あ、あはは……( ;^ω^)
ずん子たちが次にやってきた場所は、「大都会」の本拠地でした。
といっても、「目当ての人物」より外野の声がうるさいのですが。
あわもに至っては、完全に酔っ払っています。
といっても、「目当ての人物」より外野の声がうるさいのですが。
あわもに至っては、完全に酔っ払っています。
……………………まあ、確かに神々は平気で何股もかけたりするけど。
…………(-_-)
――「嘘発見器」が反応しないってことは、そういうドロドロした展開ではないみたいですね……。
じゃあ、アレや!
お互いのことが好きすぎて、いったん距離を置いたやつや!
「NHKさん……。私たちこのままでいたらダメになってしまうわ……」ってな!
お互いのことが好きすぎて、いったん距離を置いたやつや!
「NHKさん……。私たちこのままでいたらダメになってしまうわ……」ってな!
……!?( ;・`д・´)
……って……。
…………しらー。
――…………。
だあああああ!
今のなし! なしや!
今のなし! なしや!
(しかも発見器に反応もなし……(´・_・`)
まあそんなタマじゃありませんわね、あのキツネ……)
まあそんなタマじゃありませんわね、あのキツネ……)
しのびさぁ、今はいいけど、任務中にそういう妄想はしないでね☆
首を取るべき敵の大将に助けられ、寝所に侵入しておきながらもやり切れない……。
そんな悲劇のヒロインを夢見ているのではないだろうな?
そんな悲劇のヒロインを夢見ているのではないだろうな?
なっ……! そんな妄想しとらんわ!
いくら総帥と大将でも、それ以上勝手なことを……。
いくら総帥と大将でも、それ以上勝手なことを……。
ちょっ……! なんやこの機械……!?
――ピンポーン。
しのびの頭の上におもむろにイタコが乗っけた嘘発見器が、見事に反応します。
(……………………うん。機械は正常に動作している)
(これから敵地潜入任務のときは気をつけなければ……)
…………。
…………関西風忍法! 雲隠れ!(ボワン
……逃げたね。
いやー、この機械便利ですわね!ヽ(´▽`)ノ
イタコ業とも相性がよさそうですわ!
イタコ業とも相性がよさそうですわ!
しのびが姿を消したため、彼女の頭に乗っかっていた嘘発見器が地面に落ちました。
イタズラに成功したイタコは愉快そうに笑って、それを再び自分の頭の上に乗っけます。
イタズラに成功したイタコは愉快そうに笑って、それを再び自分の頭の上に乗っけます。
――さて、機械の動作も確認できたことですし。
そろそろ本命の方にお話を伺いましょうか。
そろそろ本命の方にお話を伺いましょうか。
あっ、そうだった!∑(゚Д゚ノ)ノ
ずん子は完全に忘れていたようですが、そうです。
彼女たちは「大人の恋愛」の話を聞きに、このアジトまでやってきたのです。
彼女たちは「大人の恋愛」の話を聞きに、このアジトまでやってきたのです。
お願いします――めろん先生!ヽ(^ω^)ノ
唯一「大人」と呼んでも差し支えない女性――めろんは、コーヒーを優雅に一口すすると、その切れ長の目を見開きました。
……………………おお。なんか大人っぽい。
とはいえ、恋愛のセオリーは大人も子どもも変わりませんわ。
何よりも重要なこと――、それは、「共通の話題」の存在です。
何よりも重要なこと――、それは、「共通の話題」の存在です。
そして、「共通の話題」なんて一つしかありません。
――ひ、一つ、ですか……?
ええ。それは――。
……ごくり、ですわ( ;゚─゚)
めろんの言葉を待って、場の空気が緊張します。
あのちゃんこでさえおとなしく耳を傾け、彼女の口元に集中していました。
あのちゃんこでさえおとなしく耳を傾け、彼女の口元に集中していました。
ズコー!!\(^o^)/
貴様ァ!!
また脚か! また脚なのか!?
そこに直れ! その腐った脚フェチ精神を叩き直してやる!
また脚か! また脚なのか!?
そこに直れ! その腐った脚フェチ精神を叩き直してやる!
もー!
めろん、真面目にやりなさい! ちゃんこ怒るよ!
めろん、真面目にやりなさい! ちゃんこ怒るよ!
――ピンポーン!!
――は!?
じゃああの二人は、ずんねえさまの話題で意気投合して恋を育んだんですか!?
じゃああの二人は、ずんねえさまの話題で意気投合して恋を育んだんですか!?
――ピンポーン! ピンポーン!
……………………ずんだの人……。
まさか「ずんだアロー」だけでなく恋の矢も放つことができたとは……。
まさか「ずんだアロー」だけでなく恋の矢も放つことができたとは……。
まさか自分が恋のキューピッドだったとは思わなかったのでしょう。
戸惑っているずん子にイタコが歩み寄ってきて、ぽん、と、彼女の肩に手を置きます。
戸惑っているずん子にイタコが歩み寄ってきて、ぽん、と、彼女の肩に手を置きます。
これは……責任を取らなければなりませんわね……ヽ(^∀^)ノ
――その後、ずん子は「責任の取り方」を知るために二周目の聞き取り調査を敢行。
自分には関係ないと分かった皆から「ずん子にやってほしいこと」を好き放題言われて散々な目に遭いますが――それはまた、別のお話。
自分には関係ないと分かった皆から「ずん子にやってほしいこと」を好き放題言われて散々な目に遭いますが――それはまた、別のお話。
(第1話はこちら!→ http://togetter.com/li/320198 )
(前回:第92話はこちら!→ http://inove.jp/ivsid918 )
(次回:第94話はこちら!→ http://inove.jp/ivsid989 )
(魔法少女編記事一覧はこちら! http://inove.jp/sectionview.php?sectionid=59 )
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