【領土問題?】深刻な領土問題を解決した、必殺の方法!
国家間の領土問題が大変な話題になっていますが、もっとミクロなレベルでも、身の回りに領土問題はたくさん起こっているわけです。TVのリモコンの領土問題、俺の嫁の領土問題、県境の領土問題、観光資源の領土問題……etc.それら全ての共通項を洗い出したところ、必殺の解決法があることが分かったような……分からないような……。
(――いいなあ……)
学校に行く準備をしたずん子の背中を、巨大なソーラーパネルを背中にしょった、露出多めの少女がホバリングして追いかけています。にこにこと、何を考えているか分からないけれど愛嬌のある笑顔で追いかける「彼女」は、よく見ると、関節に球体関節が仕込まれている、アンドロイドのようです。
ストップ! ストォーップ!Ε=ε=ε= ┌(;´゚ェ゚)┘だから、勘違いだってばー!
――どうしてこうなったのか、少し時を遡って解説しましょう。
(――始業式当日・朝、東北家玄関――)
(――タコねえさま、あなた長女でしょう。自宅の領土侵犯には首長たる者が頑として対応すべきだと思いますよ)
(いえいえ……(;゚∀゚)、こういう時だからこそ、普段はのらりくらりと生きているきりちゃんのような人間が意識を高くするべきですわ!)
(『不法侵入者――行き倒れ――』には断固とした態度で接するべきか、それとも相手を刺激しないように、最初は低姿勢で行くか……)
靴をとんとんと叩いて、いざ始業式へ。2ヶ月ほど会っていなかったクラスメイトとの再会を楽しみに、きりたんたちは玄関からその第一歩を踏み出して――立ち止まっていました。
東北家の庭に、どう見ても怪しい銀色の服を着た女性が、うつ伏せに行き倒れていたのです。
わー! みんな置いてかないでー!(´;ω;`) って、どうしたの?
部活用具を持っていかなければならないぶん出遅れていたずん子が、玄関から顔を覗かせます。誰が行き倒れさんに話しかけるかで膠着していたきりたん、イタコ姉さま、めたんの三人は、まるでモーセがやってきたかのような素振りで、ずん子と行き倒れさんとの間に道を作りました。
(――全く警戒しない……)
おーい? あれ?(。・´_`・。)
駆け寄ったずん子がしゃがみ込んで「彼女」の顔を覗き込み、驚きの声を上げました。なお、きりたんたち三人は、いまだに遠く離れたところから様子を窺っています。
この人、浮いてる?(´ω`;)
(まあ、浮いた格好はしていますが(;´・ω・)……)
うつ伏せで倒れているのに、少女の顔や服には東北家の玄関にある土が付着していません。接近したずん子がよく観察してみると、彼女は、意識を失ったまま地面すれすれ、3cmのところをホバリングしているのです。
そういえば昔、こんな感じのリングのおもちゃがあったような気がする……ヾ(*'∀`*)ノ えいっ。(ツン
(つついた……ホラー映画なら真っ先に身を滅ぼすタイプね……)
緑と青が混じったまだら模様の髪飾りを、ずん子がツン、と突きます。すると、その球体はリングに沿ってぐるぐると回転し始め――。
『――サイキドウ、シマス』
バゴォン! という盛大な音が鳴り渡って、彼女の背中の肌が、びっくり箱のように開きました。
ばきゃ、めきめきめきめき、がっしょんがっしょんがっしょん、ばばばばば。前から背中のハッチが開いた音、背中からアームが4本伸びてくる音、アームが太陽の位置を探してさまよう音、太陽光パネルが展開する音です。
『あ~~~~り~~~が~~とぉ~』
『ございます~』
太陽光を浴びて、ずん子が突っついた彼女の頭の惑星の回転が早くなっていきます。それに伴って、おっとりとした彼女の口調が少しだけ、早回しになっていきました。
『あなたがぁ、ご主人さま(33)ですねぇ~』
――そして、冒頭の状況に戻るのです。
「きゅうしゅう・そら」? お名前ですの?(´・ェ・`)
『はい~。ご主人さまを捜していたら、こんなところに迷い込んでしまいました~。でも、見つかって良かったです~』
だから、私はあなたのことを全然知らないし……(´;ω;`)、たぶん、人違いじゃないかな……。
そうそう。私じゃなくて他に……って、きりたん?∑(゚ω゚ノ)ノ
『理解不能です~?? あなた(11)……え~っとぉ、きりたんさま? がご主人さまなんですか~?』
――ふふっ、実効支配です。ずんねえさまが領有権を放棄したのが悪いのです!
『では、きりたんさま(45)~。僕と契約して、ご主人さまになってよ~! ……という感じで、登録をお願いします~』
……数字が変わったわね。
さして興味がなさそうなめたんが、うちゅうさんのスカウターに表示される数字の変化に気がつきます。視線の向き、声の調子から、「あなた(11)」と「きりたんさま(45)」は、どちらも、きりたんのことを指しているようですが。
『あ、これですかぁ~。これ、見た相手の「女子力」を表示するんです~。きりたんさま(53)は本機と契約をすることになりましたのでぇ、女子力が上がったのですぅ』
(な、なんか……心なしかきりたんのお肌がツヤツヤになっていくような……(´゚д゚`) というか、醸し出すオーラに余裕が生まれて、これは……)
…………ちょっと待った! ですわ!(´゚Д゚`)ンマッ!!
『なんですかぁ~?』
そらさん、きりちゃんに騙されてはいけませんわ! 彼女はいま呟いたように、執事やメイドが欲しくてあなたと契約をしようとしているのです!(`・ω・´)
――ぐっ……。ソ、ソンナコトナイデスヨ?
(;゚д゚)ェ……………….
――ちょ、ちょっと待って下さい! 今まで何も言っていなかったのに、得することが分かったとたん主張し始めるなんておかしいですよ!? ですよね、めたんさん!?
めたんちゃんまで……。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。 もう、いい加減に……!
ちゅっちゅっちゅ( *^皿^)、女子力が高ければリピーター率も上がりますわ! あたしの名声もうなぎ登りで、いずれは大もうけですわ!
「女子力」。なんと便利な言葉でしょうか。ずん子たち四人は、魔法の言葉に騙され、言い争い(声が小さいきりたんはボードで主張していますが)を始めてしまいました。しかし、置いてけぼりにされた当の本人は、戸惑うでもなく、ニコニコしています。
『あらあら~……。みなさぁん、けんかはダメですよぉ~。けんかは……あら~?』
揉めるずん子たちに蚊帳の外にされたそらさんの耳、スカウターと繋がっているヘッドセットが、チカチカと光ります。通信が入ったようです。
『もしもし……。あ、はい~? え~? いま東北にいて~ご主人さまを捜していたら倒れて……え~? 種子島~? あ、はい~、すぐ向かいますねぇ、ご主人さま~(89)』(ピッ
『みなさん、ごめんなさぁい~。どうやら、道を間違えてしまったようで、いま本当のご主人さまからぁ……、みなさぁん、聞いてくださぁい~』
電話は、どうやらそらさんの本当のご主人さまからだったようです。ヘッドセットへの電話番号を知っている人物ということで、本当のご主人さまだと確信したのか――自分の勘違いに気がついた彼女は、ホバリングしたままずん子たちの争いに割り込もうとしますが、取り合ってもらえません。
『みなさぁん(7)(11)(9)(12)、もうちょっと落ち着かないと女子力がどんどん下がってぇ……。人の話を聞いて……。う~ん……奥の手です~! え~~いっ!』
そらさんはニコニコと笑ったまま、大して困ってもいない様子で「困りましたねぇ~」と呟くと、左手に持っている吸引力の変わらないただ一つの掃除機を持ち上げ、ずん子たちに向かって一振りします。すると――。
えっ!?∑(゚ω゚ノ)ノ わ、わ、わ……!
『当社の掃除機はぁ、小型のブラックホールが内蔵されていてぇ、対象のぉ、女子力を阻害する要因をぉ、吸い取ることができまぁす~』(ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
あ……『ウォークライ――闘争本能――』が吸い取られて……、いえ、わたくしはもうこのようなはしたない言葉を使うのをやめますわ。
まあ、きれいなきりたんちゃん(o'∀'人)、頭の包丁が曲がっていてよ。
――どうも……いえ、
ありがとうございます、きれいなおねえさま(ハキハキ
『みなさまぁ(72)(65)(78)(69)、争いごとはよろしくないですよ~。お分かりいただけたらぁ、この書類にサインしてくださぁい』
『どうも~。そしてぇ、そろそろ時間ですねぇ~。女子力維持、限界ですぅ~』
『えへへぇ、独立を獲得しましたぁ~! みなさんのサイン付きです~』
なっ……!?
そらさんはそう言うと、先ほどずん子たちにサインさせた書類を高々と掲げます。性格豹変中のことをほとんど覚えていないずん子たちでしたが、そこに書いてある文字は、紛れもなく彼女たちの自筆なのです。何が起こったか理解できていない四人に、そらさんは、小さく手を振ってさよならをします。
『みなさぁん、お騒がせしました~。ご主人さまのもとに戻りますねぇ~』
んん!?∑(゚ω゚ノ)ノ ご主人さま、見つかったんですか!?
そらさんは、ずん子の質問を笑顔で肯定します。そして「最後にぃ」、と前置きして、彼女はずん子の目の前にホバリングしてきました。彼女は球体関節の両腕を伸ばし、のほほんとした笑顔に油断したずん子の両手をがっしとつかんで、上下にシェイクするのでした。
『助けていただいてありがとうございましたぁ、「ご主ずんさまぁ(21)」!
ずん子を真っ直ぐ見つめるそらさんのスカウターに、何とも言えない数字が浮かび上がります。それはともかく、彼女はずん子に向かってぺこりと頭を下げると、背中のパネルをガチャガチャと調整しながら、駅の方角へ向けてのんびりと去っていきました。
……え? 「ご主ずんさま(21)」って……私?∑(゚д゚*)
――そうみたいですね。助けてもらった恩返しでしょうか……?
両足を前後させず、ホバリングで遠ざかっていくそらさんの背中を見送りながら、ずん子たち一行は、嵐に巻き込まれたかのような表情で固まっていましたが――真っ先に我にかえったのは、めたんでした。
ちょ、ちょっと! 『終焉の儀式――始業式――』の時間、もう過ぎてるじゃない!
――あ。
ちゅわっ!?∑(。・Д・。) ですわ! お客さんとの待ち合わせの時間ががが!
と、とにかく行きましょう!(´;ω;`) 初日から遅刻なんて……。
――その後、ずん子たちはこってりと絞られましたが、それはまた、別のお話――ではなく、もうちょっとだけ続くんじゃよ。
(――翌日、朝礼前――)
ずん子がいじっている携帯のニュース画面に、『世界初の宇宙開拓用アンドロイド、打ち上げ成功』の見出しが躍っています。その記事には、例の笑顔で、種子島の宇宙センターから打ち上げられるそらさんの動画も掲載されていました。
まさか、本当に宇宙に行っちゃうなんて……でも、無事打ち上がってよかったねえヾ(*'∀`*)ノ 私の女子力を高めてから行って欲しかったけど……(゚´ω`゚)
ま、ずん子ならあの子の胸の膨らみを見て「ずんだ餅にできそう……(σ゚∀゚)σ」って考えてるのが関の山よ。ずんだ餅より女子力を優先するずん子なんて見たくないから、今のままでいいわ。
突然燃え上がったずん子に微笑みを残して、めたんは自分の席へと戻ります。朝礼開始のチャイムが鳴ったのです。始業式だけだった昨日とは違って、今日から本格的に授業が始まります。入ってきた先生も、どこか緊張した表情を浮かべて、教室の扉を閉めかけ――。
――その扉が、もう一度開かれました。
『はじめましてぇ~』
( ゚д゚ )
――先生に導かれて前に立ったのは、「あの」何も考えていそうにない笑顔。
『どうもぉ、新しく一緒に勉強させていただくぅ、「九州そら mk-Ⅱ」です~』
(´゚ω゚)・*;'.、ブッ
そらさんに座席を指示した先生が、「九州さんは宇宙開拓を平和裏に進めるために開発されたアンドロイドだそうです!」と嬉しそうに話します。さすが長年ヘンテコ能力学校の教師を務めているだけあって、この程度では全く動じません。
『まーくつー、記憶は全部引き継いでるのでぇ、宇宙のお話とかできると思います~。仲良くしてくださいね~』
そらさんがぺこりと頭を下げると、クラスメイトから割れんばかりの拍手が轟きます……が、一度その笑顔に騙されているめたんは、「仲良くしてください」と言った瞬間に、彼女が左手の掃除機をチラッと見たことを、見逃しませんでした。
え……え?(´゚д゚`) ど、どういうこと……? さっきのそらさんとは別人なの……?
ただ、ずん子は状況を把握できていません。そらさんはそんな彼女のもとに歩み寄って、のんびりとした声で、とんでもないことを口走りました。
『――よろしくお願いいたしますね~、「ご主ずんさま(17)!」』
……女子力下がってるー!?工工エエェェ(*´Д`*)ェェエエ工工
――その後、ずん子たちと同様に、女子力を高めてくれる彼女の領有権争いを始めたクラスメイトたちが美しく丸め込まれる光景を見て、ずん子もようやく状況を理解しますが――それはまた、別のお話。
――おわり―― (※今回のアンケートは、『VOICEROID+ 東北ずん子』発売日決定を記念して、「ずん子に喋ってもらいたいセリフ」を募集します! いくつかのアイデアは実際に採用して、HPで公開する予定ですー! まとめのコメント欄にて、よろしくお願いします!)
次回はこちら http://inove.jp/ivsid1408


















