無課金ユーザーが課金ユーザーに勝つためのたった一つの方法
『基本料金無料!』の文言がすっかり「本気でやるならば課金してね!」という意味と同じになってきてしまった昨今、みなさまお元気ですか。とはいえ、最近のオンラインゲームの構造は、「全プレイヤーのうちの1割が、ヘビーユーザーとして課金し続けてくれ」さえすれば、ペイラインには乗るようです。また、ユーザー側に「お布施」という感覚があるのも、日本特有の構造かもしれませんね。本日はそんなお話。
ずん子の目の前に、金色の稲穂が広がっています。
共に喜んでいたきりたん、めたんの表情が一瞬で強ばります。黄金の稲穂の粒子が空中で徐々に集まっていき、なんと、彼女らのよく知っている女性の姿になったのです。
イタコ姉さまの攻撃を受けて、めたんのHPがあっという間に0になります。改めて見てみると、それなりに装備が充実しているずん子ときりたんに比べて、めたんの装備は明らかに貧弱なのです。
これで、やられるのは何度目でしょうか。もはや「戦闘後に蘇生すればいいや」扱いになってしまっているめたんの脳裏に、走馬燈がよぎりました。
――(ゲーム外時間で)前日・東北家――
ずん子ときりたんの衣装が変わって、和服から洋風の戦士の装備となっています。そう、ここはそらさんがそのネットワーク力を活かして生み出した仮想空間『そらーど・アート・オンライン』の中なのです。
ちなみに、パーティはずん子・きりたん・めたんの三人。ゲームマスターとして進行役を務めるそらさんは仕方ないとして、イタコ姉さまは仕事、うさぎは「超常的な力を使うのであれば監視する」とのことで、残念ながら不参加です。
ふふ……。日常的にはなんの変哲もない、地味めの学生――しかし、その身に秘める潜在能力はSSSランクであり、自覚的にそれをコントロール可能で、面倒ごとが大嫌い。だから普段はBランクを装っているけれど、パーティのピンチにその魔法力を『解放――エンゲージ――』して戦況を一変させr
――ぼわん!
そらさんが『それ~♪』と合図を唱えると、めたんの姿が一変します。もくもくとしたスモークの中から現れた彼女の姿は、彼女が熱く語る理想の『魔法少女』からはほど遠く――。
――と、いうわけで再びゲーム内――
ずん子の左手に、治癒の光――ザオ○ク――が宿っています。めたんは彼女が引っ張ってくれていた棺桶から上半身を起こすと、周囲の状況を確認しました。
――しかし、「原始時代からずんだ餅を作れるようになるまでの文明の発展を体感するゲーム」って、地味ですよね。もっとこう「豪華声優陣起用」! 「メインキャラクターは美男美女から選び放題」! とかして売りを……。あ、ずんねえさま、あそこにレアドロップを落としそうなモンスターが。
オンラインゲームに慣れているきりたんが、目敏くモンスターを発見します。 ゲーム内時間で、縄文時代から14年の時を過ごした彼女たちは、すっかり野生の本能を身につけていて――報告を受けるやいなや、凶暴な笑顔でモンスターに襲いかかるのでした。
しかし、現実は非情です。ハイエナのような姿をしたモンスターは、パーティの中で誰が一番弱いのかを素早く判断すると――。
バチコーン!
ハイエナの攻撃は、『綿100%――古アーマー――』の防具をいとも簡単に引き裂いて、めたんの柔肌に痛恨の一撃を叩き込みました。すかさず、ずん子が魔法で蘇生します。
いいっていいって!(o'∀'人) それより、早く枝豆の栽培に成功しないと、いつまで経ってもこのゲームクリアできない=何度もめたんちゃんがやられるから………………ん?(;´・ω・)(ドンッ
めたんの方を向いて歩いていたずん子が何かにぶつかります。どうやら、全速力でレアドロップモンスターを追いかけていたきりたんが急に立ち止まったために、彼女にぶつかったようでした。
しかも、それぞれが「二回行動」持ちのようです。そらまめさんとえだまめさん、計四回の先制攻撃(四切れのカステラ)が、体勢の整っていない「ずん子と、きりたんを」襲いました。
そらまめさんとえだまめさんは、ずん子ときりたんに集中砲火を浴びせ――二人は、回復と防御に忙殺されています。一人蚊帳の外に置かれためたんは、さすがに頭に来たのか、
(思い出せ……。わたくしの設定は、なんの特技もない、地味めのプレイヤー――しかし、その身に秘める潜在能力はSSSランク!! 普段はBランクを装っているけれど、「パーティのピンチに」その魔法力を『解放――エンゲージ――』して戦況を一変させる女なのよ!)
弓を杖代わりにして、傷だらけのずん子が立ち上がります。もうほとんどHPが残っていないというのに、凄まじい執念です。
――と、その時。ずん子は強大な魔力の流れを察知して、振り返りました。
――まっ、まさか……!!
めたんちゃん……!!O(*>▽<*)o
『魔法力――マナ――』がめたん掲げた杖の先に収束します。そう、彼女は防御力こそ紙装甲ですが、唱える魔法の火力はパーティ随一の、『魔法騎士』――。
突き出した杖の先端から、超高高密度に圧縮された魔法力の塊が二つ、飛び出します。ゴルフボール大のその塊は、音の速さでそらまめさん・えだまめさんの腹部を貫き――。
――轟音を立てて、金色の魔力を解放したのでした。
――そして、ゲーム内時間で半年後――
で……できた……!(ノ∀;`) 「枝豆の種」って名前どおりに「枝豆」から先に成熟しないのはびっくりしたけど、ちゃんと実ったヽ(≧▽≦)ノ
ずん子の掌の上には、白いお餅と緑色のペースト。そう。まぎれもない「ずんだ餅」が乗っていました。
喜びに湧くずん子たちのパーティ。しかし、「倒したと思ったらあと二段階変身を残していたラスボス」の存在は、古今東西、お決まりの展開です。もちろん、このゲームもその例に漏れず――。
そらさんの声とともに、ずん子たちの全身に今までに感じたことのない緊張が走ります。そう。背後から、強烈なプレッシャーが襲ってきたのです。
そう。彼女らは失念していたのです。ずんだ餅をずんだ餅たる存在にする、「ある調味料」の存在に……。
――かっ、彼女の背後にそそり立っているのは……。
――ッ!
た、確かに……( ゚ω゚;) 「ずんだ」そのものは何も混ぜなくても美味しいかもしれない。けれど……「ずんだ餅」というアイテムに限っては……「砂糖を混ぜたずんだ」を「お餅」の上に乗せなければ意味がない! どうして忘れていたんだろう、私!。・ ゚・。* 。 +゚。・。* ゚ +...
……『最後の試練――ファイナル・ジャッジメント――』というわけね……。
――……ひっ!?
――ボゴォッ!
うさぎが印を切ると、ずん子たちの目の前の地面が紅葉型にえぐれます。地形をも変化させるその凄まじい力に、さすがのきりたんも、たじろぎました。
――え?
弱気になったきりたんに向けて、めたんがニコッと笑いかけます。綿100%のキャミソールとホットパンツ装備ですが、彼女の横顔に刻まれた「刻印」は、まさに、歴戦の勇士。
――!!
めたんちゃんの言うとおり!(`・ω・´) 私たちがここで諦めたら、この世界からずんだ餅という概念がなくなってしまう。私は、諦めたくない! ずんだ餅を! 三人で頑張ってきた証を!
――ずんねえさま……! めたんさん……!
きりたんの瞳に、意思の輝きが戻ってきます。そうです。彼女らはひとりでゲームをやっているわけではないのです。仮想空間を通じて育まれる、プレイヤー同士の熱き友情こそが、オンラインゲームの最たる魅力なのです!
三人の勇気がずんだ餅を救うと信じて!
――その後、「キャラが違う」というイタコ姉さまとうさぎの強硬な反対、および「世界観設定の練り直しが急務」というテストプレイヤーの要請により、『そらーど・アート・オンライン』は開発を無期限延長する羽目になりましたが――それはまた、別のお話。
――おわり―― (※今回もまとめのコメント欄にて感想をお待ちしています! また、まとめのコメント欄にずん子のイラストを投稿してくださる方も募集中です! コメント欄に投稿していただいたイラストに限り、公式から転載させていただく可能性がありますので予めご了承くださいね。)
次回はこちら http://inove.jp/ivsid1420































