【冬コミ初心者必読】8:30を過ぎたらトイレには行くな!
「最も事故を起こしやすいのは、慣れてきたころ」とはよく言いますが、それが車の運転だけでなく、コミックマーケットにも当てはまります。夏コミに参加したから冬も余裕だぜ!とか思っている人が特に危険です。というわけで、みんなで注意点をおさらいしてみましょうではありませんか。
――がくん。――がくん。
夜行バスの車内が、定期的に心地よく揺れます。バスは、東北自動車道を北に向かって進んでいました。
満席のバスの中は(幸いにもマク○ナルドを持ち込むお客さんもおらず)ぼそぼそと話す声と、規則正しい寝息の音がふわふわと浮いています。今日は12月31日。ずん子たちが家に戻るころには、きっと年が明けていることでしょう。
物思いにふけるずん子の席の隣では、背中にしょった二門のきりたんぽから、とても可愛い二次元の女の子が描かれたポスターをのぞかせながら、なんだかよく分からない寝言を漏らしています。
ずん子の座席の下に置いたバッグにも、三日間の「戦争」で購入した数多の『夢――薄い本――』(命名・めたん)が詰まっています。
そうです。彼女たちは、コミケ帰りの夜行バスに乗っているのでした。
(あ、そらちゃんがワンセグで年末特番見てる……(*´∀`*) ……けど、あれ絶対自分で電波受信してるよね……( ゚ω゚;) 受信料とか大丈夫かな……)
(ま、まあいいか( ´Д` ) 今年も色々あったなあ……(〃ω〃) まさか、大晦日をコミケで潰すことになるとは思わなかったけど……)
ずん子がバスの心地いい振動に身を委ねて目を閉じると、脳裏に、つい先程まで身を投じていた冬コミにまつわる辛くも楽しい戦いがリフレインします。そう、それは彼女の今年を象徴するかのような、ドタバタの記憶――。
(――12月28日、出発直前――)
そっかー。(・ε・`*) じゃあ、うさぎちゃんは行かないんだね、冬コミ。
高速バスのバス停まで見送りに来たうさぎは、ずるずるとぬいぐるみの「いなば」を引きずっています。「忙しい」とは言うものの、もう慣れっこなのか、疲れている様子はありません。
ま、まあ……私は夏に一度だけ行っただけだけど、確かに「戦場」だったよ……。じゃあ、ありがとう!(≧▽≦)ゞ ちゃんと身につけておくね!
がっしと握手をして、うさぎと別れてバスに乗り込みます。そう、この時のずん子はまだ知らなかったのでした。「夏」とは違う貌で牙を剥く、「冬コミ」のその恐ろしさを――。
(――冬コミ1日目、待機列――)
夏コミと同様始発でやってきて、きりたん・そらさんと一緒に東ホールの待機列に並んでいるずん子は、寒そうでした。
※有明は浜辺です。遮蔽物はありません。風が良く通ります。下はアスファルトです。要するに――とても寒いです。防寒対策をしっかりしましょう。
ささささささむい……(´;ω;`) な、夏はあんなに暑かったのになにこれ……。
――いや、でも無理そうなら離脱してくださいね……。トラウマになりますから……。その点わたしは安心のスキーウェア(もこもこ)。ハンドクリーム塗って来ましたから、お肌の保湿もばっちりです!
※スキーウェアまで用意する人は多くありませんが、とりあえず最低四枚は着込むようにしましょう。あとは自分のトイレの近さを勘案しつつ、適宜温かい飲み物を飲み、カイロを首に貼るなどして対応です。
もこもこですが女性特有の膨らみが見られない温かそうな胸板と、露出度が高く豊満で柔らかそうで温かい肉まんのような胸が、両サイドからずん子を誘惑します。もちろん、それがウツボカズラのように甘い罠であることは明白ですが。
――そういえば、そらさんは初めてですよね、コミックマーケット。何か買うものは決まってるんですか?
ビシィ!と指を突きつけて、きりたんが大事なことを二回繰り返しました。
――会場内は電波が悪いのです。WEBカタログは印刷して持ってくるのが基本ですよ! 豊満な身体破れたり!
(「アンドロイド破れたり!」だよね!?∑(゚ω゚ノ)ノ 「豊満な身体」の方はメインじゃないよね!?)
痛いところを突かれたそらさんは、ぽやぽやしたその表情を一変させて黙り込み、俯きます。なんの戦いなのか分かりませんが、板vs.肉まんの戦いは、板の方に軍配があがった――かと、思いきや。
肉まんの少女の口元には、「してやったり」の笑みが浮かんでいました。
『彼曰くぅ、「コミケとは単純なスポーツだ。56万人の人間たちが同人誌を奪い合い、そして最後にアンドロイドが勝つ」そうですよ~♪ それはぁ~、こういうことだったのです~♪』
そらさんはいつもどおりの穏やかな笑顔で片手を挙げます。そして、『戦争は物量です~♪ 来まっせ~い♪』と高らかに宣言すると、なんと――。
――こっ、これは……!?
――それは、まさに「人海戦術」。いえ、「アンドロイド海戦術」でした。
『まーくつーたちはぁ、自らをルーター代わりにしてインターネットに接続することも可能なのです~♪ そしてROMを二百個買い、それぞれにインストールしておいて~データを共有しながら動けばぁ、我が軍は圧倒的ではないか~♪ って感じですよ~♪』
た、確かに……!(;゚∀゚) 目当てのものを全て買い、全てのブースを回って掘り出し物を見つけるためには、こんなに効果的な方法はないかも……!
――きりたん、破れたり――。誰もが、そう確信した瞬間でした。
『『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』『!?』!?』『!?』×200
※友達だからといって、遅れてきた人を待機列に招き入れたり、逆に割り込んだりする行為はやめましょう。あなたは飢えたライオンの前でも同じことができますか?
『あ~れ~(涙)』という緊迫感のない声が200個ハモります。アンドロイドの海の面々はしょんぼりと肩を落として、列の最後尾まで歩いて行きました。
(――日付が変わって2日目。東京ビックサイト内――)
ずん子は、イタコ姉さまとの約束で、同人誌の販売を手伝う「売り子」をすることになっていました。
いやー(ノ▽〃)、「サークル参加」だと事前に会場内に入れるんですね! その分、準備とか色々大変ですけど……。寒くないだけでありがた……へっちゅん!
めたんは新刊を机の上に並べています。金欠、そしてずん子たちとのドタバタもあり、今回の彼女はスタッフでの参加を諦めたようです。
そういえば、今回の新刊ってなんなんですか?(o'∀'人)
「何を言ってるんです?」といった風にイタコ姉さまが差し出してきた薄い本の表紙には、満面に笑っているずん子が。(※第25話のオンラインゲームでアバターにしたアーチャー仕様)
工工エエェェ(*´Д`*)ェェエエ工工!!?? 待って!? こんな写真いつ撮ったんですか!?
※会場内で素敵なコスプレを見かけても、撮影は定められた場所で、ちゃんと本人の許可を取ってからしましょうね!
いやー、特典はペーパーか何かにしようと思ってたところに、そらさんが200人も来ていただけたものですから(≧▽≦)ゞ 多機能アンドロイドですわね、彼女。
※ちなみに、平均価格一冊500円の本を200人で買い漁ったそらさんは1日にして予算を使い切ってしまい、本日はお休みです。衝動買いや表紙買いもコミックマーケットの魅力ですが、予算の配分はちゃんと考えましょうね。
場内に開場のアナウンスが響くと、今か今かと待機していたホール中のサークル参加者が、一斉に拍手をします。その音は冬の凍れる空気を貫いてホールの壁や天井に反響し、会場にいる全ての人の口元に笑顔をもたらすのでした。
※一度は体験してみてくださいね! 開場の拍手を聞いてこそのコミケです!
『歓びの歌――地鳴り――』が来るわよ。一般参加の人たちの入場行進ね。
さあ、今日は誰が一番最初に来てくれるのでしょう?(o'∀'人) 楽しみですわ。
『ファースト・エンカウント――一人目のお客さん――』は嬉しいものよね、何度参加しても。
コミケ慣れしたイタコ姉さまとめたんの会話に「そうなんですねー!」と相槌を打っていると、ついさっきまで恥ずかしがっていたずん子も何となく楽しみになってくるのですから、お祭りの場の空気というものは特別です。
――ふふふふ。前回までのわたしとはひと味違いますよ、今年のわたしは。何と言っても毎日山登りして部室まで通ってますからね……!!
――というわけでずんねえさま。ずっとファンでした! これからも応援してます! 握手してください!
(――コミケ3日目終了後、東北地方・某所――)
闇に溶ける漆黒の長髪が凍える北風にたなびきます。神事ではないために私服を着込んだうさぎは、その手に妖力制御具である「いなば」のぬいぐるみを抱える代わりに――彼女の手首ほどもある太いしめ縄を握って、遠く東京の方を見つめていました。
(――と、いうわけで再び夜行バスの中――)
ずん子の脳裏に去来するのは、冬コミで経験した突っ込みどころの数々。冷静に考えてみると、今年一年はあんな感じの出来事ばかりだったような気がするのです。
漆黒の夜闇を貫く『光速の幻獣――夜行バス――』。目撃者の談によると、鮮やかな黄緑色に発光するその車体の内部には、まるで妖精のような白い肌の少女が妖しく儚く微笑むという……。ひょんなことからそのバスに乗り込んでしまったあなた(読者)とずん子との出会い! 甘く切ないストーリー仕立て!
い……行けますわ!∑d(゚∀゚d) 壁サー間違いなしですわ!!
高解像度でお願いしますわヽ(≧▽≦)ノ その間に、あたしは今日購入した「サークル参加申込書セット」にずんちゃんの魅力溢れるサークルカットを念写しておきますから。
『ふっふっふ~♪ ご主ずんさまはまーくつーが年末特番を見ていると錯覚して油断して寝てしまったのかもしれませんがぁ、まーくつーの身体中に仕込まれた超小型の高精度カメラを使えば~♪ ほぉら♪ 番組を観てるふりをしながらでもHD画質でしっかり録画です~♪』
――ぐへへ……。
自分の顔に視線が集まっているのをひしひしと感じながら、ずん子は寝たふりを続けました。すると、彼女が首から提げている「うさぎのお守り」がきらりと光ったかと思うと――。
――ごーん。ごーん。ごーん。
きりたん・イタコ姉さま・めたん・そらさん「「「ぐえー_(:3 」∠)_ _(:3 」∠)_ _(:3 」∠)_ !!!」」」
お、おお……除夜の鐘が打ち鳴らされるたびに、聖なる光が邪な思いを浄化していく……!! (T人T)ナンマンダブ
どこからともなく除夜の鐘!! 四人に対して大ダメージ!!
煩悩は消えたッ! 2012年・完!!
――その後、重たい身体を引きずって夜のうちに初詣を済ませたずん子は、合流したうさぎ、そして産まれたばかりの子鹿のような美しい瞳のきりたん達と「今年もよろしくね!」の挨拶を交わし合いますが――それはまた、別のお話。
――おわり―― (※今回もまとめのコメント欄にて感想をお待ちしています! 冬コミで本を出す人はコメントをいただければ、東北ずん子公式twitterが拡散しますよ! ※ただし成人向けは除きます、ごめんなさい)
【お休みのお知らせ】12/26(水)、および1/2(水)は年末年始のためにお休みです~。次回の更新は1/9(水)になりますので、お知りおきください!
本年は「東北ずん子小説」をご愛読いただきありがとうございました! みなさまのおかげで、なんとアニメの2クール分以上になる27話まで進めることができました! 来年もぜひ読んでくださいね!
次回はこちら http://inove.jp/ivsid1422





























